今年のアカデミー賞は初のアジア系女性監督が監督賞を受賞したり、アジア人がほとんど英語をしゃべらない演技で助演女優賞を受賞したりと、色々な意味でマイノリティーが席巻しました。また、折りからのコロナ禍で長期にわたり劇場が閉まっていたこともあり、ネット配信作が大躍進するかと思いきや、どっこい劇場公開作が土俵際で踏ん張りました。
今年の受賞発表はコロナ禍ということもあって、とにかく異例づくしで、部門によって会場も異なり、発表の順番も例年と大幅に違っていました。特にいつもなら最後に作品賞の発表が行われるところが主演男優賞になったのには演出上の意図を感じずにはいられません。大方の予想では『マ・レイニーのブラックボトム』のチャドウィック・ボーズマンが受賞して、ネット配信作の大勝利を決定づけて大いに盛り上がるだろうと思われていましたが、蓋を開けてみたら、コロナで会場にも来られなかった『ファーザー』のアンソニー・ホプキンスが受賞して、映画評論家たちを唖然とさせました。でも、考えてみれば至極妥当な受賞なんですよね。それに痴呆症の老人だって、ある意味マイノリティーと言えますし。
主な受賞作は次の通りです。
【第93回アカデミー賞受賞作品】
☆作品賞
『ノマドランド』
☆監督賞
クロエ・ジャオ『ノマドランド』
☆主演男優賞
アンソニー・ホプキンス『ファーザー』
☆主演女優賞
フランシス・マクドーマンド『ノマドランド』
☆助演男優賞
ダニエル・カルーヤ『ユダ・アンド・ザ・ブラック・メサイア(原題)』
☆助演女優賞
ユン・ヨジョン『ミナリ』
☆脚色賞
フロリアン・ゼレール、クリストファー・ハンプトン『ファーザー』
☆脚本賞
エメラルド・フェネル『プロミシング・ヤング・ウーマン』
☆国際長編映画賞
『アナザーラウンド』
☆撮影賞
エリク・メッサーシュミット『Mank/マンク』
☆編集賞
ミッケル・E・G・ニルソン『サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~』
☆美術賞
ドナルド・グレアム・バート、ジャン・パスカル『Mank/マンク』
☆衣装デザイン賞
アン・ロス『マ・レイニーのブラックボトム』
☆メイクアップ&ヘアスタイリング賞
『マ・レイニーのブラックボトム』
☆作曲賞
トレント・レズナー、アッティカス・ロス、ジョン・バティステ『ソウルフル・ワールド』
☆歌曲賞
H.E.R. 「Fight For You」(『ユダ・アンド・ザ・ブラック・メサイア(原題)』)
☆音響賞
『サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~』
☆視覚効果賞
『TENET テネット』
☆短編アニメ映画賞
『愛してるって言っておくね』
☆長編アニメ映画賞
『ソウルフル・ワールド』
☆短編ドキュメンタリー賞
『コレット(原題)』
☆長編ドキュメンタリー賞
『オクトパスの神秘: 海の賢者は語る』
☆短編実写映画賞
『隔たる世界の2人』