MARCH
2018
Diary

3月5日「第90回アカデミー賞授賞式」
 今日は朝からWOWOWで「第90回アカデミー賞授賞式」をライブ放送です。去年は前代未聞の作品賞誤発表事件がありましたが、今年はハリウッドのセクハラ告発旋風やトランプ大統領の移民対策への反発などもあって、波乱含みの授賞式になりました。
 受賞者の政治的発言を予想してか、冒頭で司会が「何を発言しても良いけれど、スピーチの時間の短い人にはカワサキの最新型ジェットスキーをプレゼントするよ」とジョークで釘を刺しました。(と思ったら、ジョークではなく、本当にプレゼントしました!)
 米国アカデミー賞は映画に携わるアカデミー会員の投票で賞が決まるシステムですので、特に作品賞は会員の総意が表れるものです。今年はセクハラ告発やら、移民対策やら、銃による重大事件の連鎖やら、社会的な問題が山積ですが、これらについてアカデミー会員がどう思っているかが問われる授賞式となりました。
 まず特筆したい事件は、追悼セレモニーの中でジョージ・A・ロメロ監督やロジャー・ムーアやマーチン・ランドーやジェリー・ルイス等とともに「中島春雄」の名が呼ばれたことです。中島春雄と言えば初代ゴジラの着ぐるみを被っていた人です。日本ではあまり知られていませんが、世界的にはゴジラ俳優として有名で、今では主流のモーション・キャプチャーの前身となった着ぐるみ俳優の草分け的存在です。この名が呼ばれたということは、いかにアカデミー協会が彼の業績を認めていたかの現れで、これは嬉しい驚きでした。番組に出ていた映画評論家の町山智浩氏も心なしか目を潤ませていました。
 しかし、最大の事件は最後の最後にやってきました。な、な、なんと作品賞に「シェイプ・オブ・ウォーター」が選ばれたのです。ギレルモ・デル・トロ監督のモンスター映画がですよ!体裁は口の利けない女性と半魚人との愛情物語ですが、「大アマゾンの半魚人」と「美女と野獣=キングコング」の流れを汲むモンスター愛に溢れた作品です。(まだ観ていないけど、たぶん)
 ベネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞していたし、監督協会やプロデューサー協会などの賞も軒並み受賞していたけれど、まさかアカデミー賞を採るなんて!これでモンスター、怪獣映画もアカデミー協会に認知されたんだと、町山氏は感極まっていましたが、私ももらい泣きしてしまいました。
 考えてみれば、登場人物たちは聾唖者や黒人やゲイ、それに半魚人といったマイノリティーたち。それに監督はメキシコからの移民といった、現代米国社会問題の縮図のような作品なので、獲るべくして獲ったとも言えなくもないですが、怪獣オタクのマイノリティーとしては、大変目出度いエポック・メイキングな出来事でした。半魚人が好きだった天国の和田慎二さんもきっと喜んでいることでしょう。(ところで、「シェイプ・オブ・ウォーター」って、「ヘルボーイ」のスピンオフじゃなかったの?)