August
 2016
Diary

8月4日「新・真・神・心・震・深」
 今日は久しぶりに109シネマズ二子玉川へ行きました。実は先日も「インデペンデンスデイ」を観に行ったのですが、出来があまりの体たらくだったので、日記に書く気も無くなってしまったのです。もっとも、ポイントを使ってタダで観たのですから、あまり文句も言えませんが。
 今日観たのは「シン・ゴジラ」です。総監督の庵野秀明はアニメでは成功しているものの、実写映画はどれも頭をかしげる出来でしたし、監督の樋口真嗣監督ときたら、「進撃の巨人」という眼も当てられない作品を作った張本人ということで、正直この新しいゴジラにも期待していませんでした。
 大体、ハリウッドで作られた、ギャレス・エドワーズ版ゴジラを観たたばかりです。CG技術はもちろんのこと、予算も製作期間も人材も圧倒的に劣るなかで、今更日本で作る必要があるのか?世界にみっともない作品を発表しないで欲しいと願うばかりです。
 そんな不安な気持ちで観た「シン・ゴジラ」ですが、意外や意外。なるほど、そう来たか!と、思わず膝を打つ、見事な特撮映画に仕上がっていました。
 まず、邦画の欠点である、俳優の自己満足的演技を極力廃し、子供だましにも、マニアックな演出過剰にも陥らないように、ポリティカル・フィクションとして作り上げたところが上手い!ハリウッド版のように、個人の視点で、家族や、愛情を描くこともなく、ただひたすらに政府とゴジラの対決を描くことに専念したのです。この攻防は、まるで「プロジェクトX」を観ているような高揚感を与えてくれます。
 次に、ゴジラの強さを強調する演出が上手い!とにかく、今回のゴジラは強いのなんのって、もはや最強最悪です。その強さを演出するために、架空の兵器を廃し、自衛隊の全面協力のもと、丁寧に自衛隊の兵力を描写したおかげで、これだけ強い自衛隊でも倒せないのかという感じが良く出て、絶望感さえ覚えます。
 そして、貧弱なCG技術だけに頼らずに、あえてミニチュア・ワークを多く併用したのが功を奏している!CG合成に頼るハリウッドではなかなか描写出来なかった(CG合成がばれるので避けていた)真昼間の戦いを、自然光の下ではより本物に見えるというミニチュア・ワークの利点を効果的に使って難なくクリアした点は流石です。政府のゴジラ対策チームによる奇想天外な作戦といい、斬新なアイデアを惜しげもなく投入しているところも、まさに東宝特撮映画の真骨頂と言えます。
 そして、そして、要所要所に流れる伊福部音楽の勇ましいことよ!極論で言えば、これだけでも、日本でゴジラ映画を作る意義があります。
 そんなわけで、今回の「シン・ゴジラ」は非常に庵野色の強い作品ですが、まさに東宝特撮映画の集大成とも言える作品に仕上がっています。
 邦画の弱点を廃し、そして逆手に取って上手く作り上げた「シン・ゴジラ」ですが、果たして興行的に大成功を収めることが出来るのか?特撮日本の今後を占う意味でも、注視したいと思います。
 
★★★★★
見たか、これが本当のゴジラだ!
(野村萬斎のゴジラはどっしりしていて、まさに神の身業!)