FEBRUARY
 2015
Diary

 2月27日 「セシウムと少女」

 業界の風雲児、才谷遼くんが映画を撮ったというので、完成した作品を観に渋谷の映画美学校に行きました。「セシウムと少女」という、いかにも反原発の才谷くんらしいタイトルですが、内容がファンタジーというのだから驚きです。
 阿佐ヶ谷に住む17歳の高校生のミミちゃんは、ちょっと変わった女の子。お祖母ちゃんが飼っていた九官鳥の「はくし」を探しているうちに、なぜか7人の神様と出会って、東京中を巡ることに。更に、1940年代の阿佐ヶ谷にタイムスリップして、お祖母ちゃんの意外な過去を知るのだった…。
 主張したいことや、やりたいことがてんこ盛りのこの作品。どうまとめるのか、監督の腕にかかっているのだけれど、岡本喜八に師事した彼らしく、カット割りが妙で飽きさせない。途中に挿入されるアニメやミュージカルも唐突だけど、これも作風と納得させられる。特に、私は銭湯でのミュージカルシーンがお好みです。
 ファンタジーの体はしているが、言いたいことは臆せず主張していて、セシウムの量を実際に計測して、奥多摩と河口に集中していることを見せるなど、なかなか説得力がある。最後の都会に飛ぶ蛍の群れも、放射能の塵に思えてくるし、元「たま」の知久寿焼の唄う主題歌が物悲しくて胸に迫るものがある。摩訶不思議な内容ながら、うまくまとめあげた点は褒めてあげたいです。頑張ったね。
 会場で、久しぶりに古川タクさんにお会いしました。お元気そうでなによりです。