7月6日「最近観たDVD」
ここ1ヶ月のうちに観たDVDのランキングを書いておききます。
1)「この愛のために撃て」★★★★★☆☆☆☆
面白い!「すべて彼女のために」のフレッド・カヴァイエ監督の第2作目です。妊娠中の妻を誘拐された男が、犯人の要求に応じたがために警察に追われる羽目になり、それでも妻を救い出すために奔走します。ごくふつうの男が愛する妻を取り戻すために奮起して不可能を可能にするという点は前作に似ていますが、ここに時間的制約と妻が妊娠中というハンデが加わり、更に難易度が増しています。いくらなんでもこりゃ無理だろうと思いますが、さにあらず。意外な協力者が現れて、間一髪で難関を次々と乗り越えて行く様が痛快です。特に今回はパリ市内でのロケが凄くて、緊迫感と臨場感を高めています。2作目にしてこれですから、この監督には今後とも注目したいと思います。間違いなく今作もハリウッドでリメイクされるでしょう。
2)「宇宙人ポール」★★★★★☆☆☆
「ショーン・オブ・ザ・デッド」のサイモン・ペッグとニック・フロストが主演と脚本を務めたSFコメディーです。過去のSF映画のパロディーもたくさん出てきますが、それ以上に宇宙人愛に満ちた、大変マニアックで洗練されたユーモアに溢れた作品です。
「サンディエゴのコミコンに行ったついでにエリア51からロズウェルに至るUFO縁の地を巡るというマニア垂涎のツアーを敢行する主人公二人に至極同意してしまう自分ですが、そういう同族の方ならば、映画の冒頭から、うんうんと頷きつつも笑いが止まらない展開です。逆に言うとマニアでない人たちには何が可笑しいのか、さっぱりわからないでしょう。たとえばMナイト・シャマランの「アンブレイカブル」も同様のマニアックさがあって、マニアの人以外には理解されない部分があります。それでも、あえてマニアックに作り込むところが、この二人の真骨頂であり、愛されるところです。
映画界には同様のマニアがたくさんいて、二人の作品に協力を惜しまず、この作品でも大御所が喜んでカメオ出演しています。また宇宙人を扱う作品では、どうしても避けられないタブーがあって、その点にも果敢に挑戦しているところが見事です。米国での興行収入がそれほど芳しくなかったのも、そのことが影響しているのでしょう。
3)「リミットレス」★★★★☆☆☆
人間の脳細胞を100パーセント活性化する薬を飲んだ男の話です。眠っていた脳が活性化するとどうなるか?それを視覚的に納得させる映像がなかなか見事です。薬の使い方と活性化した頭脳の使い方を巧みに織り込んだシナリオがなかなか見事で、なるほどと感心しました。
4)「ミッション・8ミニッツ(SOURCE CODE)」★★★★☆☆☆
アフガニスタンで瀕死の重傷を負ったコルター・ステイーブンスは、気がつくとシカゴに向かう列車の中にいて、列車に仕掛けられた爆弾を駆除するために、8分間の追体験を繰り返す任務を課せられていました。
「月に囚われた男」で鮮烈なデビューを飾ったダンカン・ジョーンズの2作目ですが、これも前作同様、奇妙な境遇に置かれた男が目覚めるというシチュエーションから始まります。
「ソース・コード(原始プログラム)」とは、人間がプログラム言語で書いた指示の羅列のことで、コンピューターに命令するために必要な、人間が読み書きできる指示書を意味します。つまり、ここではコルターの意識そのものがソース・コードになっていて、最後に指示したことは何かというところがミソなのです。
相変わらず最後の解釈が分かれる作品ですが、これが奇妙な余韻を残す監督の特徴なのでしょう。ともかく邦題の「ミッション・8ミニッツ」というのが、内容をわかりやすくしているようで、反ってわからなくしてしまっていると感じました。
5)「シャーロック・ホームズ シャドウゲーム」★★★★☆☆☆
ロバート・ダウニーJrとジュード・ロウのコンビによる第2弾です。今回の相手は宿敵モリアーティ教授で、ホームズたちは教授の壮大な計画に挑みます。
CGで再現した19世紀ロンドンの風景は相変わらず見事ですが、関係ない人がばたばた死んでいくのは、ホームズ作品としてどうかと思います。
「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」のノオミ・ラパスが出ていますが、それほど小柄というイメージでないのが不思議です。
6)「ドラゴン・タトゥーの女」★★★★☆☆☆
スウェーデン映画「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」のハリウッドリメイク版です。デビッド・フィンチャー監督らしく、長く入り組んだ話をテンポ良くまとめていて、手際の良さはさすがです。
ミカエル役に007のダニエル・クレイグはどうかと思いましたが、意外と適役でした。リスベット役のルーニー・マーラが体当たりで熱演しています。興行的には問題ないのですが、売れっ子二人を使っているので、果たして続編は出来るのでしょうか?
7)「LOFT完全なる嘘(トリック)」★★★★☆☆☆
情事のため、男5人が共有していた新築マンションのロフト。ところがある朝、その秘密の部屋に女の死体が見つかって、さあ大変!
ベルギーで10人に1人が観たという爆発的ヒット作のオランダリメイク版で、当然ハリウッドリメイクも決まっているそうです。観て気がついたのですが、ベルギー版も観ていました。でも、こっちの方がより官能的でショッキングな作りになっています。どちらも名も知らない美人女優がわんさか出てきます。
8)「ゴーストライター」★★★★☆☆☆
寒々した地の果てに呼び出されて、自叙伝を書かされる男が謎を追う内に何者かに命をねらわれるなんて、まるで「ドラゴン・タトゥーの女」みたいです。でも、こちらにはリスベットのような頼りになる協力者はいません。
ピアース・ブロスナン演じる元英国首相アダム・ラングが本物の首相とダブって、ホントの話じゃないかと思わせるところが妙に不気味です。ロマン・ポランスキー監督はアメリカに入国出来ないので、アメリカのシーンは全て英国国内で撮ったはずですが、交通標識とか車の右側通行とか、色々と大変だったのではないかと思います。ロマン・ポランスキー監督って、どうしても異邦人のムードに取り憑かれていますね。
9)「アリス・クリードの失踪」★★★☆☆☆
アリス・クリードが二人の男に誘拐されるが、そこにはある秘密があった。登場人物がたった3人だけという殆ど密室劇です。二人の誘拐犯と誘拐された女の間で繰り広げられる、丁々発止のやりとりが見物で、それぞれの間には意外な秘密が隠されています。元々舞台劇だったのでしょうか?
10)「ワイルド7」★★★☆☆☆
邦画にしては、驚くほどエンタテイメントしたシナリオです。設定は滅茶苦茶ですが、ハリウッドに迫る程よく頑張っています。褒めすぎですが…。 |
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