SEPTEMBER
 2011
Diary

9月10日「グリーン・ランタン」
 久しぶりに109シネマズ川崎に行きました。ここは全スクリーンにエクゼクティブ・シートが設けられているので、とても楽ちんに映画を観ることができて助かります。
 で、今日観たのが「グリーン・ランタン」なのですが、2億ドルもの製作費をかけて、全米での興行収入が1億1千7百万ドル足らず、全世界でも2億2千万ドル程度では全く元が取れていません。これではシリーズ化は無理でしょうね。…なんて、最初から悲観的な予想をして観に行きましたが、果たして結果は如何に?
 
 テストパイロットのハル・ジョーダンはある夜、突然緑色の光に捕われて、とある海岸へと運ばれます。そこには一隻の宇宙船が不時着していて、なかには瀕死の宇宙人がいました。
彼の名はアービン・サー。宇宙の平和を守るグリーン・ランタン・コアのメンバーで、地球を含むセクター2814を守護する最強のグリーン・ランタンですが、最大の敵パララックスとの戦いで瀕死の重傷を負い、地球に逃れてきたのです。そして、彼はハル・ジョーダンを彼の後継者に任命し、無限のパワーを持つ緑の指輪を託すのでした。
 銀河を守る警察機構と聞けば、レンズマン・シリーズを彷彿とさせる壮大な物語を期待してしまいますが、なんだか妙にせせこましい印象です。
 原作によれば、グリーン・ランタン・コアのメンバーの種族は多種多様で、細菌レベルの生命体から惑星レベルの生命体までと大きさも形態もまちまちだそうです。それじゃあ、肝心のグリーン・ランタンや緑の指輪をどう携帯するのか、どうやって使うんだ?と、どうにも疑問が湧いてきます。
 
 それは良いとしても、オズの国のようなエメラルド・グリーンの光りに包まれた世界というのが、色補正を間違えたCG画像のようで、折角の高度なCG技術を台無しにしています。これも設定ですから仕方ありませんけれど。
 
 また、想像力によって様々な物を作り出せるパワーというのも、画で観ると漫画のようで、ドラマに緊迫感を欠落させています。まあ、これも原作がコミックということで、仕方ないんですけれど。
 
 なにしろ銀河を股にかけるお話ですから、ものすごいスケール感を期待してしまうのですが、その期待は見事に裏切られてしまいます。銀河の中心にあるといわれるグリーン・ランタン・コアの本部がある惑星オアに行くにも、ワームホールに入ってあっという間に到着ですし、だいたい地球を襲う超巨大なパララックスだって、結局地球上の一都市の一区画しか襲わないのですから、大言壮語もいいところです。また、単純明快なストーリーは良いのですが、主人公の人物描写が通り一遍なので、どうにも感情移入出来ず、まさに絵空事の世界の出来事に感じてしまうのが残念です。
 
 SFとしてスケール感に乏しく、人間ドラマとしても薄っぺらいときては、どう考えてもヒットは望めません。次回作を予感させる終わり方が、ただ空しく映るだけでした。と、ここまで言いながらも、(元々この手の話が好きな)私としては意外と面白く観られました。それにしても、「グリーン・ゾーン」といい、「グリーン・ホーネット」といい、タイトルに「グリーン」のつく作品は外ればかりなのでしょうか?
 
 ☆☆☆★★★(全体に緑がかった映像を3Dで見せられても、アナグリフ式の赤青のメガネで観ているようで、トホホです)