DECEMBER
Diary

12月20日トロン レガシー
 今日はワーナー・マイカルお客様感謝デイです、1000円で映画が観られます。ということで、早速ワーナー・マイカル・シネマズ新百合ヶ丘に映画を観に行きました。で、観たのが「トロン レガシー」と他1本です。もう一本については後ほど書きますが、とりあえず「トロン レガシー」に関しての感想です。

 ★「トロン レガシー」
 前作でコンピュータの世界から帰還したケヴィン・フリンは相棒のアランとエンコム社を立ち上げ、巨大企業へと成長させたが、ある時突然姿を消してしまった。残された一人息子のサムにエンコム社の全権が委ねられたが、サムは会社の経営には目もくれず、夜な夜なバイクを乗り回し、奔放な暮らしに明け暮れていた。そんなサムの元に、ある夜アランが訪ねてきて、失踪した父親からのメッセージを告げ、父の所有するゲームセンターの鍵を手渡すのだった…。 
 
 その昔「TORON」の公開時は、世界初のフルCG作品という触れ込みだったのですが、実際CGが使われたシーンはほんの少ししかなく、ほとんどが白黒フィルムに色を着色してごまかした偽CG映像でした。なにしろ当時は1秒数千万という費用が掛かった時代です。天下のディズニーが果敢に挑戦してもこの体たらくですから、手間も時間もお金もかかるCG映画なんて夢のまた夢なのかと、非常に落胆したものでした。ですから、その後ルーカスがCGスタジオを立ち上げて、スターウォーズをCG映像で作り始めると言い出した時も、「トロン」の失敗を目にした大半のSWファンはこれに懐疑的で、せいぜい出来ても「スター・ファイター」が精一杯だろうと思ったものです。
 
 ところが、その後CG技術はめざましい進歩を遂げて、今やCG抜きでは映画が作られないという位にハリウッドを席巻するまでになりました。ルーカスの作ったCGスタジオからは世界に冠たるCGアニメ・スタジオ「ピクサー」が誕生し、CGアニメは2Dアニメを凌駕するほどに成長を遂げました。こうした技術革新の源をたどれば、やはりディズニーに辿り着くといっても過言ではありません。そして、中でもエポックメイキングな作品が「TORON」なのです。ですから、「TORON」の続編が出来ると聞いたとき、今度はどんな映像で驚かせてくれるだろうかと、期待に胸を膨らませずにはいられませんでした。
 
 でも、技術開発に時間が掛かりすぎたのでしょうか、何もかも遅きに失してしまったようです。コンピュータ内の世界観では既に「マトリックス」がユニークな映像を見せてくれていますし、3D映像としては、なんといっても「アバター」に先を越されてしまっています。どうにも目新しさを感じないどころか、そのデジタルな世界観が古めかしく感じられてしまうのです。主演のジェフ・ブリッジスをCGで若返らせたのも、「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」で見せた若き日のブラッド・ピットの方がはるかにインパクトがありました。期待が高かったせいもあり、これは非常に残念な結果といわざるを得ません。
 
 さらに困ったことに、工業デザイナーという畑違いの人材に初監督させたおかげで、映画の骨格すら非常に危うい出来になってしまいました。状況説明をもっぱらセリフに頼るという、ディズニーらしからぬ過ちを犯しています。一応父子の絆を軸としてまとめ上げてはいますが、人間描写はお座なりで、第一、主人公に全く感情移入できないとあっては、どうしたって、人間ドラマとして盛り上がりに欠けるものになってしまっています。
 
 そんなドラマ性の欠如があっても、「TORON」の最大の売りは、やはり誰も観たことがない世界を見せてくれるという先駆的革新的な映像に他なりません。常に業界の先駆者であろうという、ディズニーの精神と意欲には惜しみない賛美と尊敬の念を捧げますが、いかんせん製作期間があまりにも長すぎたため、技術革新の急速な進歩に追いつけず、後発の者たちに追い越されてしまった観は拭えません。少なくとも「アバター」の前に公開されていたならと、非常に残念でなりません。
 ☆☆☆★★★(なんといってもあの「TORON」の続編ですから、☆一つおまけです)