今日は池田憲章くんと月島で待ち合わせて、ブロードメディア・スタジオ月島試写室へ行きました。この試写室は倉庫の2階にあり、客席は少ないものの、かなりゆったりとした椅子が心地よく、音響も最高で、スクリーンも明るいので、結構お気に入りです。
で、今日観たのが「超強台風」。もうじき公開される韓国映画「TSUNAMI -ツナミ」と時を同じくして公開される、中国が総力をあげて作ったディザスター・ムービーです。日本にいては気にも留めていませんでしたが、当然のごとく、台風の猛威は中国本土も襲っているわけで、2006年に発生した台風8号「桑美」(さおまい)は福建省や浙江省で大きな被害をもたらしています。あの「カトリーナ」に匹敵する破壊力の「桑美」をモデルに、それをも凌ぐ超強台風「藍鯨」が画面狭しと暴れ回るのがこの作品です。
ディザスター映画といえば、危機を察知した科学者が行政に対して警告しても、行政側はそれに取り合わないというパターンが普通ですが、この映画は違います。なにしろ主人公は高潔この上ない市長なのです。科学者の方が危機の確率が小さいと及び腰なのに対して、この市長ときたら、たとえ確率が1パーセントでも人命を守る方が大切だとばかりに、120万市民を早々と避難させるのです。これに対し、多少の脱落者はいても、ほとんどの住民が市長命令に従って、一糸乱れぬ避難行動を起こすのも、さすが中国!
こんなにすんなりと事が運んでは、面白くもなんともないだろうと思ったら大間違い。なにしろ相手は人知を越えた自然の猛威です。それに加えて、誰ひとり犠牲者を出すまいという、無謀とも思える信念に燃える市長の肩には、120万市民の命が重くのしかかります。市長にとっては、孤島で難産に苦しむ産婦も、無人の町に残ったコソ泥も、金魚鉢を大事そうに持った少年も、みんな大切な命なのです。どんなことがあっても救わなければなりません。こんなムチャぶりに自ら率先して身を投ずるんですから、市長には次々と無理難題が降りかかってきます。危機また危機の連続です。
波に流された船が避難所の壁をぶち破り、どっと流れ込む海水。それと一緒にサメまでも現れ、人々を襲い始めます。まるで「ジョーズ・イン・ツナミ」みたいなシチュエーションですが、これで驚いてはいけません。次の瞬間、やおら市長が「私は元特殊部隊だ!」と叫んで、サメにむかって飛び込んでいくのです!とんだところで市長の過去を知り、驚く間もなく、市長に続けとばかりに次々とサメに飛びかかる人々。さすが中国人は違います!サメなんぞフカヒレの材料にしか思わないのでしょう。こんな展開、アメリカ映画では絶対にアリエネェ〜!
この映画のもっともユニークなところは、CG全盛の現代において、ミニチュア・ワークを主体にした特撮技術を駆使しているところです。なにしろ水を扱っているから、それなりの波を表現するにはかなりの規模が必要となってきます。波の大きさからして10分の1スケールのミニチュアの町を作ったと思われますから、そこに流れる水の量と来たら莫大な量になる。どんだけ大きなプールを使ったんだと、考えただけでも気が遠くなりますけれど、さすが中国、スケールが違う!撮影所から特撮用プールが次々と消える日本に代わって、今やミニチュア・ワークの分野でも中国が世界の覇者となりつつあるようで、昔からの東宝特撮映画ファンとしては残念で仕方ありません。
☆☆☆★★★
(トンデモ度は★5つ!)
映画観賞後、池田君から
特撮リボスティックのフィギュアをもらいました。このフィギュアの解説を彼が書いているからです。過去様々なフィギュアが作られましたが、この特撮リボルテック程、映画に忠実に作られたフィギュアはないでしょう。造形も素晴らしく、その上、各部間接が可動ときているのですから、特撮映画ファンには堪りません。それに付属品が充実しています。ナイトメアー・ビフォア・クリスマスのジャック・スケルトンなんか、オプションフェイスが4つも用意されていて心憎いばかりです。さすが池田君が薦めるだけのことはあります。特に「モゲラ」なんか、造形の良さといい、芸の細やかさといい、史上最高の出来なんじゃないでしょうか。、まさに、こんなフィギュアが欲しかった!というファン垂涎の逸品に仕上がっていますよ!出来れば今後、ハリーハウゼンのモンスターたちも宜しくお願いしたいところです。