1日は映画の日でしたので、久々に2本映画を観てきました。どちらも3Dアニメですが、3D映画は映画の日も安くはならないので、あえて2D上映で観ました。でも、折角の3Dを味わえなかったので、何だか損したような気分です。
「モンスターVSエイリアン」
結婚式の日、青く光る隕石の直撃を受けた花嫁のスーザンは、みるみる体が大きくなって、身長50フィート弱の巨人に変身してしまいます。早速現れた軍隊に捕獲され、スーザンの身柄は秘密のモンスター収容施設に運ばれました。一方、時を同じくして宇宙の彼方からは、謎の巨大ロボットがやって来ました…。
昔懐かしい50〜60年代のB級SF映画や怪獣映画にオマージュを捧げたパロディの数々が楽しめます。その懲りようたるや尋常でなく、例えば巨大なムシザウルス(虫怪獣)に壊される日本の建物がわざわざミニチュア風にしてあったり、実に細かい所まで元ネタを3Dアニメにアレンジして再現してくれています。そして、なんと言っても圧巻なのが3Dのアニメ風に再現されたサンフランシスコの街並みです。その中を巨大ロボットに追われながら、自動車をローラースケート代わりに転がして逃げ回る身長50フィートに1インチ足りない巨大女スーザンの姿が、なんとも痛快です。
日本語吹き替え版しかやっていなかったので、仕方なしに吹き替え版で観たのですが、危惧された通りやはり今一つシックリと来ませんでした。米国のアニメは吹き替えの人の演技に合わせて動画を製作していますから、日本語の吹き替えも本来の吹き替えの人に近い人を選ぶべきです。3D映画の台頭で日本語吹き替え版が益々増えてくるのでしょうが、有名タレントやお笑い芸人の安易な起用は、いいかげんに止めてもらいたいと切に願います。
それと、折角W.R.モーガン将軍の声をキーファ・サザーランドが吹き替えしているのですから、日本語吹き替えは是非とも小山力也にやってもらいたかったです。実際、セリフにジャック・バウアーの名前が出るくらいですから、「キミの協力に感謝する」とか「キミにはホントに済まないと思う」とか、ジャック・バウアーのアドリブを入れて欲しかったですね。
☆☆☆★★★
「ボルト」
ハリウッドのスタジオ内で育てられ、自分をドラマの主役のスーパードッグだと信じ込んでいたボルトは、パートナーの少女ペニーが掠われたと勘違いし、誤って外の世界に投げ出されてしまいます。そして気が付くと、ボルトはニューヨークに運ばれていました。初めて外の世界に出て、ボルトは自分の超能力が消えたことを(無かったことを)思い知らされます。こうして、役者犬ボルトは現実世界の辛酸を舐めさせられながらも、飼い主の少女ペニーを求めて、大陸横断の旅に出るのでした…。
ピクサーのジョン・ラセターがディズニーのアニメスタッフを指揮して初めて最初から作った3DCGアニメです。ですから、ピクサーとディズニーの良いとこ取りをしたような作品に仕上がっています。逆に言うと、どっちつかずの中途半端な出来ということにもなりかねません。
ドラマの主人公と思いこんでいた犬が現実の姿に目覚めるという、犬版「トゥルーマン・ショー」のアイデアは面白いのですが、どうも現実世界の描写が中途半端な印象を受けてしまいます。現実と非現実の差を際立たせるならば、現実世界でも犬が文字を読めたり、ネコがバットを振りかざしたりというのは如何なものでしょうか?まあそこはアニメですから、目くじら立てることもないのでしょうが、どうも気になってしまいます。
ともあれ、野良猫のミトンズとカプセルの中に入ったハムスターのライノも仲間に加え、さながら「三匹荒野を行く」のような道中を続けるうち、ボルトが次第に普通の犬の暮らしに目覚めていく過程が丁寧に描かれていきます。この三匹のキャラの配分が実に良いんです。一見おかしな取り合わせの三匹ですが、夢の世界に生きるボルト、現実主義で懐疑的なミトンズ、ドラマの中のボルトを信じるポジティブ思考のライノという具合に、よく考えたキャラ設定が成されて無駄がありません。さすがキャラ重視のピクサー仕込みと感心させられます。
というわけで、笑いあり、涙あり、成長ありで、ファミリー・ムービーとしては大変良くできた作品に仕上がっているのですが、私のようなひねくれ者にはどうも物足りなさを感じてしまうんです。実際TVドラマの中のボルトがあまりに素晴らしいので、このままドラマを続けても良かったんじゃないかと思います。これがピクサーなら、きっと本物のスーパー・ドッグを主人公にした物語にしたのではないかと思えてなりません。(でも、同時期ディズニーで「アンダードッグ」というスーパー・ドッグの映画が作られていたので、やっぱり無理だったのかも?)
なお同時上映の短編アニメ「メーターの東京レース」は、ピクサーの「カーズ」でお馴染みのキャラメーターが東京へ行った時のお話ですが、如何にもという感じの似非東京が描かれていて、遊び心満点のとても楽しい作品です。さすがピクサーですね♪
☆☆☆★★★
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