5月30日「スタートレック」
109シネマズのポイントが貯まったので、普通の日に映画を観に行きました。行ってみて驚いたことに、映画館のロビーは人でごった返しているではありませんか。何と今日は「ROOKIES-卒業-」の初日だったんですね。でも、私が観たいのはそんな女子供が喜ぶTV映画じゃなくて、SF少年の夢を紡ぐ作品なのです。そう、本日のお目当ては「スタートレック」です。
アイオワの片田舎で粗暴な生活に明け暮れていたジェイムス・タイベリアス・カーク青年は、ある日酒場で宇宙艦隊士官候補生たちと些細なことで大乱闘を起こします。それを止めに入ったのが、宇宙艦隊のクリストファー・パイク大佐でした。パイク大佐は実はカークの父ジョージの知り合いで、カークに父の跡を継いで宇宙艦隊へ入隊するよう勧めに来たのです。自分の進むべき道を見失っていたカークはパイクの言葉に突き動かされ、宇宙艦隊への入隊を決心をします。
こうして宇宙艦隊アカデミーに入ったカークは、医者のレナード・(ボーンズ)・マッコイや宇宙言語の才媛ウフーラと知り合います。父親譲りの才能に恵まれたカークですから、メキメキと実力を発揮し始め、超難関のテストも楽々クリアしてしまいます。しかし、それに異を唱える男がいました。バルカン人のスポック中佐です…。
スタートレック正史ではジェイムズ・タイベリアス・カークはU.S.S.エンタープライズNCC-1701の3代目の艦長で、初代はロバート・エイプリル、2代目がクリストファー・パイクなのです。しかもエンタープライズ号は衛星軌道上のサンフランシスコ・ヤードで完成したことになっています。もちろんジェイムズ・T・カークの父親も無事でしたし、あの星も消滅したなんて事は無かったのです。
ところが、ロミュランの巨大掘削船が過去へタイムスリップしたおかげで、時空に歪みが生じ、新しい時間軸の歴史が生まれました。そう、このJ.J.エイブラムス版「スタートレック」はパラレル・ワールドの新しい「スタートレック」なのです。ですから、カークが粗野な性格だろうと、スポックが精神破綻しようが、ウフーラが誰と仲良くなろうが、チェコフがいきなり登場しようと、全然問題ないのです。
というわけで、上手いこと新規再生を果たした映画版「スタートレック」は、「宇宙大作戦」を知らない世代にも、熱狂的トレッキーにも、充分満足出来る作品に仕上がりました。冒頭の血湧き肉躍る感涙のシークエンスに始まり、お馴染みのキャラが次々と集まっていく展開には、否が応でも胸が高まります。
「スタートレック」の魅力は、なんと言っても登場するキャラクターたちにあります。ロマンチストで楽天的なカーク艦長の機転と決断力、冷静沈着なMr.スポックの論理的判断力、人情味溢れるDr.マッコイの愚痴、専門技能に優れたウフーラやスコッティやスールーやチェコフたちとの友情とチームワーク。それらが上手く噛み合って、全体として「スタートレック」の魅力を構成しているのです。その点についても今作はそつが無く、個々に見せ場を用意して、彼らのキャラを充分に引き立てています。
そして、特筆すべきはCGによる美しい宇宙空間の描写と、宇宙戦闘シーンです。そう、こういう宇宙SFを観たかったんだよなあと思わせる程、それは見事なVFXです。そして何より、制作陣の「スタートレック」に対する思い入れの深さと尊敬の念が画面の端々からヒシヒシと伝わって来て、同時代を生きてきた者としては、嬉しい限りです。
☆☆☆☆☆★★★★
(でも、やっぱりビール工場みたいな機関部は、ちょっとなあ…)
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