DECEMBER 2008
Diary

                 12月1日「D−WARS」と「逆回転」

1日は映画の日なので、恒例の映画鑑賞に行ってきました。観たのは話題の韓国製怪獣映画「D−WARSディー・ウォーズ」と「僕らのミライへ逆回転」の2本です。

「D−WARSディー・ウォーズ」

 わたしは基本的に怪獣映画が好きです。モンスターが出る映画なら、どんな映画でも、愛情を持って観ることにしています。ですから、どんなに前評判が悪くても、この映画を観に行くことに決めたのでした。
 
 突如ロサンゼルスを襲った地殻変動の現場を訪れたTVレポーターのイーサンは、そこで大きな鱗のような物を発見する。そして、それを見たイーサンの脳裏に、子どもの頃骨董屋で聞いた、韓国の伝説が甦った。それは500年に一度くり返されるという、善と悪の大蛇の戦いにまつわる伝説で、その戦いが今度はこのロサンゼルスで再現されると知った彼は、「ヨイジュ」と呼ばれる特別の力を宿した少女の生まれ変わりを探すのだった…。
 
 たしかにVFXは凄い(ところもある)…かもしれないし、色々なモンスターがうじゃうじゃ出てきて、楽しい…かもしれないですが。始めにVFXありきで、物語は二の次という作り方はどうなんでしょうか?

 ともかく、わたしはこの物語についていけませんでした。例えば、地殻変動の現場で見つかった鱗のような物体について、主人公と物体を調査している鑑識との会話です。 
「この世で一番硬い物質は?」
「そりゃ、ダイヤモンドだろう」
「これは有機物だ」
ちょっと待てい!話が全然噛み合ってないじゃないか!
…という具合に、一事が万事、この調子なのです。

 そもそも、韓国伝説の大蛇が何故ロスで甦るのか?さっぱり分かりません。FBIはどうやって大蛇の棲む洞窟を見つけたのか?そして、洞窟に向かった隊員が全滅させられたのに、何故そのまま放置しているのか?さっぱり分かりません。突然現れたモンスター軍団は、一体何を目指して行軍しているのか?さっぱり分かりません。大体、モンスター軍団の存在理由自体が、さっぱり分からないのです。
 
 このように、理由も意味も不明のまま、なんの脈絡もなく物語は進んでいき、何だか釈然としないままラストを迎えます。この作品が韓国で大ヒットしたというのですが、その理由がさっぱり分かりません。
 
 まあ、初めて怪獣が登場する時の恐怖を煽るような演出も怪獣映画の醍醐味ですが、この映画には殆どそれが感じられなくて、怪獣やモンスター達がちっとも恐くないんです。
 
 それに、韓国映画なのに、登場人物がすべてアメリカ人で英語をしゃべるというのも、米国市場をあからさまに狙った作りがどうも引っかかります。舞台を無理矢理ロスにしたおかげで、物語が破綻しまくるし、その戦略を見透かされて、アメリカ人にも総スカンを食らってしまいました。韓国人主演で、韓国を舞台に作ってくれれば、どれ程よかったか知れません。
 
 ☆☆☆★(VFXはゲーム並ですが、見られるところもありますし、一応怪獣映画ですので☆ひとつオマケ)
 
 ★「僕らのミライへ逆回転」

 街角の古びたレンタルビデオ店の店長から店番を任されたマイクのもとに、友達のジェリーが遊びに来た。だが、ジェリーは発電所の事故で、全身に強い磁気を帯びていたから、さあ大変。彼が近づいたおかげで、店中のビデオの映像が消されてしまった。客からの苦情でその事を知ったふたりは、どうせ中身は知らないんだからと、ビデオカメラ片手に映画のお手軽リメイクを始めるのだった。
 
 今や完全にDVDに席巻され、死語になりつつあるレンタルビデオ店ですが、ビデオテープだからこそ磁気で映像が消えてしまうし、ツメを戻せば録画を上書きできるというのがミソ。ともかく、勝手に映画をリメイクして貸しだそうというアイデアが面白く、しかもそのチープな作りにもかかわらず、映画に対する愛が感じられて微笑ましいです。
 
 それに、リメイクする作品のチョイスがなかなか良いんですね。「ゴースト・バスターズ」(シガニー・ウィーヴァーも出ています!)に始まり、「ラッシュアワー2」(あえて「2」を選ぶところがニクイ!)「2001年宇宙の旅」に「ロボコップ」「ドライビングMissデイジー」「キャリー」「ラストタンゴ・イン・パリ」「メン・イン・ブラック」「キング・コング」(主演のジャック・ブラックはピーター・ジャクソン版リメイクに出ていましたね)「シェルブールの雨傘」「ライオン・キング」(アニメも!)…といった具合。これらを一体どうやってリメイクしたのか?その半ば強引で大胆なアイデアときたら、まさに脱帽ものです。
 
 ここに描かれているのは、ハリウッド映画のビッグ・バジェットに対する皮肉であり、映画作り本来の楽しさとは何かという問いかけなのですが、それにしてはラストの一抹の寂しさが気に掛かります。やはりリメイクとはいえ、映画の知的財産は守らなければなりませんし、この辺りが難しところでしょうか。
  
 それにしても、この邦題はいかがなものでしょう?原題の「BE KIND REWIND」は、ビデオレンタル店がテープの返却時の注意書きとして使う常套句で、「(返却の際は)テープの巻き戻しをよろしく」といった意味です。たしかにこの邦題は難しかったでしょうが、それにしてもこれではまるで青春ドラマかタイムトラベル物ですよ。とはいえ、良い代案も思いつきませんけど…。
 
 ☆☆☆☆★★★★