最近の映画はスピーディーだし、一画面に込められた情報量は多いしで、画面の隅々にまで目を配って観ていると疲れて仕方ないです。これも歳のせいでしょうかね。ともかく、今日は大事を取って一本だけ観ることにしましたが、これがもの凄く濃密な内容で、見終わってホトホト疲れ切ってしまいました。
「イーグル・アイ」は予告編を観た時から、「知りすぎていた男」や「北北西に進路を取れ」のような巻き込まれ型サスペンス映画を予想していたのですが、予想に違わずシチュエーションは往年のヒッチコック作品から明らかにインスパイアされたものでしょう。確かに前述2つの映画の見せ場が巧みに盛り込まれていて、ヒッチコック・ファンならずとも思わずニヤリとさせられます。でも、監督のD・J・カルーソ監督はヒッチコック・スタイルの演出は行わず、怒濤のアクション映画に作り変えてしまいました。それが彼のスタイルなのでしょうし、今風なのでしょう。
でも、この肝心のアクション・シーンがどうも私にはいただけません。アップのシーンが多くて、しかも暗がりで、何がどうなっているのかよく分からないんですね。この辺ダメ監督でもマイケル・ベイだったら、もっと分かりやすく退いた絵で見せてくれるはずなんですがね。そこがどうも残念でなりません。
ともかく脚本家が4人も関わっているだけのことはあり、これでもかと色々なアイデアが詰まっています。それが濃密な画面に反映されていて、次から次へとたたみ掛けるアクションで見せていく構成は、観る者を決して飽きさせません。ただ見せ方が今ひとつ不親切な気がしますが、それでも観客を強引に引っ張っていくD・J・カルーソー監督の手腕はさすがと言うべきでしょうか。
私としては、やはりヒッチコックのウィットに富んだ会話やユーモアのセンスが欲しい気もしますが。
★★★★☆☆☆☆
因みに、主人公達が途中立ち寄るビデオ店の店頭には、同監督の前作「ディスタービア」のDVDがちゃっかり並べてありました。
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