12月22日「ベオウルフ(3D)」
やっと仕事が一段落したので、いても堪らず映画を観に行きました。で、観たのが「ベオウルフ(3D)」です。「ベオウルフ」、英国最古のヒロイック・ファンタジーですよ。今まで何度も映画化されていますが、どれもこれも今ひとつパッとしない出来でした。「ロード・オブ・ザ・リング」以降のファンタジー映画と比べれば、どうしたって地味です。今回の映画にしたって、パーフォーマンス・キャピチャーのCG映像を観ても全く食指が動きません。でも3D映画なら話は別です。なにしろ最近のリアル3Dは凄いですからね。まあ映画が駄目でも、アトラクションとして楽しめるに違いありません。
そんなわけで観に行きました、ワーナー・マイカル港北センターへ。実は新百合ヶ丘のワーナー・マイカルでも3Dで観られるのですが、港北センターの方が座席がゆったりしていて、前の人の頭が全く気にならないのです。どうせ観るなら、環境の良い劇場で観るべきですよね。
…と、話はそれましたが、「ベオウルフ(3D)」は凄いですよ。なんてったって2時間まるごと3Dですからね。字幕スーパーが最後まで飛び出してましたよ。正直あまり好みでないパーフォーマンス・キャプチャーのCG映像も、この3Dとはすこぶる相性が良くて、ごく自然に3D映像の世界を満喫することが出来ます。これは新鮮な驚きでした。今年の映画界は様々な変革があり、「トランスフォーマー」という画期的な映像表現もお目見えしましたが、この「ベオウルフ(3D)」もひとつの事件と言えるでしょう。アカデミー賞の長編アニメ部門にノミネートされるという話も聞きますが、「レミーのおいしいレストラン」を抑えて受賞するのも悪くないように思います。
映像面での驚きもさることながら、脚色もなかなか素晴らしいですよ。原作の叙事詩はいくつもの話を継ぎ接ぎしたかのように辻褄の合わないところも多く、実にまとまりのない話でした。ところが今回のシナリオでは、それらのエピソードを明快な一本筋の通った話に組み立て、難解な古典を血湧き肉躍る冒険活劇として見事にエンターテイメントさせています。いや、こんな面白く深みのある「ベオウルフ」は初めて観ました。この脚色をしたのがニール・ゲイマンとロジャー・エイバリーのふたりですが、このふたりの功績もアカデミー賞ものでしょう。ちなみにニール・ゲイマンといえばアメコミ「サンドマン」や「スターダスト」の原作者です。その手慣れたお話作りと構成力からして、これからも映画界で活躍し続けることでしょう。
★★★★☆☆☆☆(ただし、3D上映に限ります) |
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