MAY 2007
Diary

   5月13日「カクタス・ジャック」
 「パンズ・ラビリンス」のギレルモ・デル・トロといい、「バベル」のアレハンドロ=ゴンザレス・イニャリトゥといい、「トゥモロー・ワールド」のアルフォンソ・キュアロンといい、最近メキシコ人監督の活躍には目覚ましいものがあります。(ロバート・ロドリゲスはアメリカ人だし、ルイス・マンドーキは今一つですが…)で、次はアレファンドロ・ロサーノじゃないかと思うワケなんです。
 
 彼が初監督(脚本も)した「カクタス・ジャック」なんか、ジャケットが「ホステル」みたいだからといって侮ってはいけません。近所のTSUTAYAじゃ1本しか入荷してないし、新作コーナーの一番下の隅っこに置いてあったりして完全B級扱いですが(確かにB級映画だけど)、もっと陽が当たっても良い作品だと思うのです。
 
 町の実力者で、その凶暴性からみんなに恐れられているカボス(分かりやすい名前だ!)。その娘と付き合っている主人公のジャック(これも分かりやすい!)。娘のことでカボスの部屋に呼び出されたジャックですが、ひょんなことでカボスは頭を打って気絶してしまいます。助けを求めに部屋を出たジャックが戻ってくると、何故かカボスは下着姿になっていました。高級スーツも高価な装飾品も、車のキーも、みんなどこかに消えています。こんな状態でカボスが目を覚ましたら一体どんな目に遭うか、想像するだに恐ろしいことです。なにしろカボスは怖いほど凶暴な男ですから…。
 
 こうして、ジャックの恐ろしくも可笑しな奮闘劇が始まるのですが、ここにジャックを助ける友人やら、元プロレスラーやら、用心棒やらが加わって、更にカボスの誘拐を企てる輩やら、娘やら、メイドやら、奥さんやらが次々と絡んで、話は二転三転四転五転と目まぐるしく展開していきます。場面転換も意表を突き、シリアスになったかと思うと、いきなり突拍子もないシーンに切り替わったりします。もう、ハッキリ言って先が全く読めません。ところが、これだけゴチャゴチャなのに、話の筋はしっかり一本通っているので、観ていて少しも迷いが無いんですね。とにかく、ラテンのリズムに乗ってテンポ良く、少しも飽きることなく最後まで楽しく観れます。いや〜っ、これは久々の掘り出し物でした。

☆☆☆☆★★★★(メキシコの風土と国民性あっての、この独特のノリ!ルチャ風クライム・ムービーです)