MARCH 2007
Diary

3月10日「ナイト ミュージアム」と「ハッピー フィート」
 今日は「ナイト ミュージアム」と「ハッピー フィート」の先行ロードショーがあるというので、南町田の109シネマズ・グランベリーモールへ行ってきました。シネマ・ポイントカードのポイントが貯まっていたので、料金はタダです。もちろんエクゼクティブ・シートですよ。あいにく昨日から風邪気味で体調不良ですから、退屈だったら寝てしまいそうです。
 
「ナイト ミュージアム」 
 ラリー・デリーはおかしな発明にうつつを抜かし、夢だけは大きいのですが、何ひとつ上手く行きません。おかげで、奥さんにも愛想を尽かされて離婚されるし、いつまでも定職にありつけない有様です。それでも、息子にだけは立派に働いている姿を見せたいラリーは、アメリカ自然史博物館の夜警員の仕事を引き受けます。ところが、この博物館には信じられないような秘密がありました。なんと、夜になると博物館の展示物が生命を持って、勝手に動き始めてしまうのです。さあ、ラリーは無事にこの仕事をやり遂げて、息子の信頼を勝ち得ることができるでしょうか?
 
 博物館の展示物が今にも動き出しそうに思った経験は、誰にも一度はあるでしょう。それを本当に動かしてしまうのですから、これは痛快です。まあ、ベン・スティラーのコメディーですから、堅いことは言わずに、素直に楽しみましょう。オクタヴィウスやファラオが英語を喋ろうが、動き出す理由がいい加減でも、全然気にすることはありません。ただ、博物館を舞台にしている割りには、博物館の特性や展示物を今一つ活用しきれていない気がします。数も種類ももっとあると思うのですが、何だかこじんまりした博物館だなあという印象を受けました。でも、あんまり数を出したら収拾がつかなくなったかも知れませんね。
 
 米国の歴史には疎いですが、ここに登場するサカジャウィアというネイティブ・アメリカンの女性はアメリカでは大変有名な女性なんですね。ポカホンタスくらいしか知らないわたしにとっては、非常に興味深い登場人物でした。これを機に、アメリカ史を少しかじってみようかなという気になりました。映画としてはバカバカしい内容ですが、知的好奇心を刺激するという意味では、なかなか侮れない作品だと思います。もともと博物館が好きなので、個人的にはかなり楽しめました。
 
 キャストも面白く、ルーズベルトそっくりなロビン・ウィリアムズとか、そのまま博物館入りしそうなディック・ヴァン・ダイクやミッキー・ルーニーなんかも出ていて楽しいです。もちろんベン・スティラー作品には欠かせないオーウェン・ウィルソンもカメオ出演していて、ベン・スティラーの母親アン・メアラも顔を見せています。
 
 ☆☆☆☆★★★★

「ハッピー フィート」
 今年のアカデミー賞で「カーズ」を破って、長編アニメ部門を征した作品です。長編ドキュメンタリー映画「皇帝ペンギン」が異例の大ヒットをした時、ペンギンのCGアニメを作れば絶対受けるだろうとは思いましたが、この作品の企画はそのずっと前からあったそうです。いずれにせよ、ペンギンが歌で愛を語るという設定と、タップを踊るというアイデアが面白いですね。

  それに、なんと言ってもキャラが可愛いです。仲間が楽しげに歌う中で、ただ1羽歌えない主人公のマンブルの健気さも涙を誘います。CGの技術も、同じ氷を扱った「アイス エイジ2」と比べて格段の進歩を見せています。羽毛の感じはもちろん、特に水の表現が素晴らしいです。ですからもう、さすがアカデミー賞受賞作だ、☆5つだなんて思いながら観ていましたよ、前半までは…。
  
 しかし、後半になって話が急に現実味を帯びるようになると、次第に雲行きが怪しくなって来ます。そして物語はとんでもない展開を見せるのです。そこに見え隠れするのは、宗教観に裏打ちされた欧米人の偏った自然保護思想であり、形を変えた白人至上主義であり、一方的な価値観の押しつけでもあります。結局、選ばれたものだけが生かされ、そうでない者には全く目もくれないのですね。このペンギンたちを黒人に入れ替えると、ピッタリ当てはまるところが、また無気味です。この結末と主張には素直に喜べませんね。
 
 アカデミー賞を争った「カーズ」と「ハッピー フィート」ですが、主張的にも大きく違うところがあります。前者は「古き物も見直そう。古き者の言うことにも耳を傾けよう」という主張でしたが、後者は「古き物は捨てよ。古き者は考えを改めよ」と言うのです。ここがまた好きになれません。う〜ん、日本で受けるかは微妙だなあ。
 
 ☆☆☆★★★