2月1日「『どろろ』と『鉄コン筋クリート』」
本日は映画の日ですから、ちゃんと映画館に映画を観に行きました。結構盛況で、喜ばしい限りです。本日のお題は「どろろ」と「鉄コン筋クリート」です。前者は公開が始まったばかり、後者は公開終了間際の作品です。
「どろろ」
手塚治虫原作の伝奇妖怪漫画「どろろ」の初めての実写映画です。なにしろ色々と難しい描写がありますので、CG技術の進化を待つまで映像化が非常に難しかったのです。もっとも、倫理的な描写規制の壁の方が大きいですけど…。まあ、長く映像化が切望されてきた作品ですので、どんな出来になったか非常に気に掛かるところです。そんなわけで、不安半分、期待半分で観てみました。
いや、アクションとかCG合成とか、心配したわりには、なかなか良くできていましたよ。近くの若いカップルは「面白かったね」と言っていました。手塚漫画の映画化作品としては良く出来た方だと思います。でも私は「う〜ん…」と考え込んでしまいます。だって、物語の舞台は日本じゃないし、設定もかなり違いますから、これが「どろろ」かと訊かれれば、「う〜ん」と返事に詰まってしまうワケです。でも、曲がりなりにも「どろろ」を実写映画化したのですから、その勇気は誉めてやりたいと思うのです。わたしなんか、日本では絶対不可能だと思っていましたからね。日本特有の表現の制約があるので、舞台を日本にせず、設定を大胆に変えたというのも頷けるところです。まあ、所詮映画は映画で、漫画とは別物ですから、その辺りは仕方ないところでしょう。
でも…純粋に作品として見るならば、このシナリオ構成は如何なものでしょう?どう考えても、この構成は間違っています。導入部の作り方からして、大きなミスを犯しています。ここで手際よく百鬼丸の生い立ちを説明しておかないから、後で回想シーンがやたら多くなってしまうのです。回想シーンを多用したがために物語の流れが止まり、映画としてのリズムを壊してしまっているワケです。まあ、そんな致命的なミスを犯しながらも、アクションやVFXが結構楽しめるので中盤までは面白く観られるのですが、そこから後がいけません。まるで坂道を転げ落ちるように、どんどん盛り下がって行きます。もう、最後のクライマックスなんか、目も当てられません。何だか急に新しいキャラが出たかと思えばすぐに死んじゃうし、スケール小さくなるし、いやホント、これ程盛り上がらないクライマックスも珍しいです。結局、観た後印象に残ったのは、妻夫木聡の格好良さと、柴咲コウの泣き顔だけでした。まあ、それを見に来た人にはそれで良いのかも知れませんが、それにしても…こんなことで続編は作られるのでしょうか?う〜ん。
☆☆☆★★
「鉄コン筋クリート」
松本大洋原作漫画のアニメ作品です。この原作にして、このアニメ在りという感じで、原作漫画を動かしたら、まさにこうなるだろうという見事なアニメ化です。凄い出来です。尋常じゃないくらいに動いています。関わっている動画家の数も尋常じゃありません。背景も3DCGのトゥーン・シェード使ってグルグル動き回ります。監督が米国人(マイケル・アリアス)というのも珍しいですが、スタジオ4℃が最良と考えた人がたまたま米国人だっただけのことです。数々の実験アニメを生み出してきたスタジオ4℃が、今まで培った技術を結集した、まさに集大成と呼ぶにふさわしい作品に仕上がっています。在り
ただし、このキャラクターは好き嫌いが分かれるでしょうし、話も今一つ分かりにくく、内容も至極暴力的ですから、一般ウケはしにくいでしょう。でも、声優は素晴らしく、声の力だけで物語に引き込まれます。特に蒼井優には驚愕しました。この人は凄いね!あと個人的には、絵が骨の髄までメビウスしているのが気に掛かりました。いずれにせよ、この作品は日本よりも海外で受けるような気がします。
私的には、この調子でフランク・ミラー&ジェフリー・ダロウの「ハードボイルド」や「ビッグ・ガイ」を是非ともアニメ化して欲しいと思います。早速ダロウ君にメールを送って、そそのかしてやろう。
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