SEPTEMBER 2006
Diary

9月16日 「ヒストリー・オブ・バイオレンス」
最近借りたDVDの中で出色だったのが、やはり「ヒストリー・オブ・バイオレンス」でしたね。なにしろ久々のクローネンバーグ節です。普通のハリウッド映画とはワケが違います。それは冒頭のシーンからいきなり襲ってきます。表面的には平静を装っていても、ジワジワと迫ってくるこの胸騒ぎ。この緊迫感がたまりません。
 
 普通の映画を観ている時には、どこか醒めて観ている自分があるのですが、この映画はそれを許しません。とにかく、次に何が起こるのか、不安でドキドキしっぱなしです。お話は単純だし、よくあるヤクザ映画と同じパターンなんですが、監督が違うとこんなにも違うのかと驚かされます。抑制の効いたクローネンバーグの演出はとにかくねちっこく、ジワジワと蛇の生殺しのように観客をいたぶって行きます。この辺が逆に快感になるところが怖いです。
 
 クローネンバーグはこれまで色々と変な幻想を見せてくれましたが、幻想の世界よりも現実世界の方がもっと怖かった。暴力はいつもすぐ傍にあり、避けようとしても避けられないこともある。そんな映画でした。久々に映画らしい映画を堪能出来ました。
 
 ★★★★☆☆☆(残酷描写など、きわどいシーンもありますので、心臓の弱い方にはちょっと奨められません)