AUGUST 2006
Diary

8月4日「エイリアンズ」
 そもそも映画を「A級」とか「B級」に分別すること自体、とっても不遜な気がするのですが、まあ純然たる娯楽映画として「A級」になりきれない「B級映画」が存在することは事実です。そして、中には「B級」であることを逆手にとって、「A級」には出来ないことを思う存分やりまくるアンダーグラウンドな作品もあるわけで、これが「B級」作品の醍醐味でもあります。

 そんなわけで、確率は非常に低いですが、時々凄い「B級映画」にぶち当たることもあります。今回レンタルDVDで観た「エイリアンズ」が、まさにそうでした。アイダホ映画祭&サンフランシスコ映画祭というマイナーな映画祭で大賞を受賞し、トロント国際映画祭やイギリスファンタジー映画祭、サンセバスチャンホラー&ファンタジー映画祭&ドイツファンタジー映画祭正式出品作という、いかにも怪しさプンプンという肩書きを持つ作品です。どうです、期待しちゃうでしょ?
 
 冒頭、自主映画じゃないかと思うくらいのチープな画面に、まず脱力。出てくる俳優も、学生仲間かその辺の通行人を集めたかという素人臭い人ばかり。セットもショボいし、CGもショボい。やっぱりクズを掴まされたと後悔しかけたその矢先、お待ちかねのエイリアンが登場するあたりから、俄然B級パワーが炸裂し始めます。
 
 おおっ、このエイリアン、なんて残虐なんだ!と思ったら、反撃する地球人の方がこれに輪を掛けて情け無用のジャンゴ。まるでテキサス・チェーンソーの家族みたいな兄弟が、エイリアンを次々となぶり殺しにして行くのです。ああ、そこまでエイリアンをいたぶらなくとも、と余計な同情は禁物です。仲間を殺されて怒り狂ったエイリアンたちが大挙して押し寄せ、地球人たちを容赦なく殺し始めますから。こうなると、頭のおかしな殺人兄弟がなんと頼もしく見えることか。
 
 もう、あとはエイリアンと地球人のスプラッター合戦です。ごく普通の一般人もただ逃げてばかりはいられません。さあ、武器を持って立ち上がり、徹底抗戦するのだ!すると、ごく普通の一般人も、いままで抑圧されていた野生の血が目覚め、八面六臂の活躍でランボーのごとくエイリアン狩りを始めます。凄いぞ一般人!偉いぞオタク!おお、あなたたちを見くびっていた私がバカだった。
 
 この後半のたたみ掛ける攻防戦は凄い!そこまでやるか、まだやるか!と、観ていて思わず身を乗り出し、拍手喝采したくなります。なるほど、映画祭でマニアに大受けするはずです。画面は極めてチープですが、とにかく徹底したB級魂が素晴らしく、この監督の今後の活躍が楽しみになりました。きっと、豊富な資金が集まったら「インデペンデンス・デイ」みたいなアホ・素敵な映画を撮るんだろうね。