昨日書いたような理由で、はるばるつきみ野までやって来て観た映画は「サウンド・オブ・サンダー」「ドゥーム」「ファイヤーウォール」の3本。B級ねらいですので、万人にお勧めとはいかないものの、なかなか楽しめました。本当は「ウォレスとグルミット」観たかったんですが、吹き替え版しか上映していないので、泣く泣くパスしました。ウォレスのあの間抜けな声が良いんだからね。配給会社は反省しろ!
「サウンド・オブ・サンダー」
レイ・ブラッドベリ原作のタイムトラベルものです。タイムトラベルの鉄則として、「過去に干渉してはいけない」というのがありますが、過去に行って恐竜狩りをするツアーというのがそもそも乱暴な話です。一応、あらかじめ死ぬ予定の恐竜を、何の痕跡も残さず殺すということで、何とか過去を変えないように繕うのですが、元々無理のある計画ですから、ほんの少しの手違いで、過去から1.3gの〈ある物〉を現代に持ち帰ってしまいます。
過去では些細な変化も、膨大な時間をかけて因果応報をくり返すと、とんでもなく大きな変化を現代にもたらしてしまいます。その変化の波(タイム・ウェイブ)が、まさに津波のように現代へ繰り返し襲いかかって来るところが、この作品のユニークなところです。このあたり、タイムトラベルものとしても、なかなか面白いです。
しかし、この映画の製作中に大きな問題が生じたため、あまりに製作時間が掛かってしまいました。おかげで、製作費の割りにはSFXがショボイですし、どうしてもCG技術の古さを感じてしまいます。それに、最初思わせぶりに出てきた人がいつの間にか消えたり、なんだかお話の構成もバタバタしています。何事も、製作時間が掛かるとロクなことはありません。
ところで、よく考えてみると、恐竜狩りの後に火山が爆発して、すぐに火砕流が現場を焼き尽くしてしまいますから、たとえ1.3gの〈ある物〉を持ち帰ったとしても、全くと言っていい程影響は無いような気がします。
☆☆☆★★
「ドゥーム」
有名なシューティング・ゲームの映画化です。ゲームを映画化したものには、一つとしてまともな作品はありませんでしたが、この「ドゥーム」もまた然りです。しかし、今までのようにゲームを映画化するのではなく、映画をゲーム化しようという開き直りが、この映画を特異なものにしています。
その一つが、映画史上初めてとも言える、主人公の視点で延々続けられる、シューティング・シーンです。これはゲームファンならずとも、結構燃えます。とにかく、もったいぶらずに単刀直入で本題のドンパチに入るという、スピーディーな話の展開も小気味良いです。もちろん、主人公達の装備している銃器は過激だし、理屈よりも見た目重視の潔い姿勢にも好感が持てます。まさにB級街道まっしぐらの、愛すべき作品と言えるでしょう。
それにしても、主人公が双子である必然性は全くありません。この設定にはどんな意味があるのでしょうか?
☆☆☆★★
「ファイヤーウォール」
ハリソン・フォード主演のサスペンスドラマです。フォード演じる主人公は、銀行のコンピュータ・セキュリティの責任者ですが、銀行強盗団に家族を人質にされて、銀行強盗に協力するように強要されます。銀行強盗と言っても、現金を盗むわけではなく、ネットを使って犯人の口座に顧客のお金を振り込ませるという、サイバーな手口を使います。
ことは数字を動かすだけのことですから、実際の犯行は実に簡単に済んでしまいます。ここがこの映画の面白いところでもあり、最大の弱点でもあります。なにしろ、実体の見えない大金が、ボタン一つであっちへ行ったり、こっちへ消えたりするわけですから、どうにも実感が湧きません。役者は一級だし、シナリオも良くできているし、演出も上手いのですが、観終わった後にどうも今一つスカッとしません。やっぱり、現ナマの山を見せられないと面白くないですね。
関係ないですが、この監督は結構な映画マニア、それもB級オタクと見ました。ハリソン・フォードなんかが出てこない、もっと軽いB級映画を撮れば良いのにと思ってしまいます。
☆☆☆★★
おおっ!今回は見事に横並びでした。やっぱり、「ウォレスとグルミット」観れば良かったなあ。
追記)
「ファイヤーウォール」は良くできた作品です。シナリオは上手いし、演出も手堅いです。結構感心するシーンもあります。作品の評価としても及第点を取れています。でも……それだけです。
この作品に出ている、ロバート・パトリックを主演か犯人役にしたら、はるかに面白かったと思います。でも、それでは観客を集められなかったでしょうね。そこが難しいところです。旬なネタなので、早めに観ておかないと、中に出てくる小道具が全く意味を成さなくなってしまう危険もあります。
「ドゥーム」なんか、本当にバカ映画ですけど、劇場で観たら楽しいですよ。ゲームと割り切って観る必要がありますけれど…。
「サウンド・オブ・サンダー」は困った。未来の話なのに、古い映画を観ているような印象です。アイデアは面白いんですけど…古いなあ。
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