FEBRUARY 2006
Diary

2月9日「DVDあれこれ」
  しばらく日記をさぼっていたら、すっかり間が空いてしまいました。仕方ないので、その間に観たDVD作品のことを書いて御茶を濁すことにします。なかなか面白い作品もありましたので…。

 「Be Cool」
 
 作品の方向性が違うので比べる事は出来ませんが、最近DVDで観た「Be Cool」には「THE有頂天ホテル」で欠けていたものが全て揃っていました。有り余る資金をバックに、映画業界や音楽業界やプロレス業界のスター達が余裕を持って楽しみながら演じています。
 
 監督がミュージック・ビデオ出身の人なので、テンポ良く、リズミカルな演出をしています。もちろんシナリオもしっかりしていますが、それ以上に作品の流れやノリを重視していて、役者もアドリブを連発し、生き生きと演じています。この辺りが時間とシナリオと資金に縛られた「THE有頂天ホテル」と大きく違うところです。まあ、無い物ねだりしても仕方ないですが…。
 
 あと、この作品ではごく一部を除いて登場人物の殆どが金と名声に目が眩んだ悪者ばかりで、この点も良い人ばかりの「THE有頂天ホテル」と正反対です。人間のドロドロしたところをさらけ出しているところが如何にもハリウッドですが…、それにしても「音楽業界では映画業界みたいにマフィアの脅しは効かないぜ。なにしろ音楽業界はマフィアばかりだからなあ」なんてギャグは、ちょっと笑えないなあ。
 
 ちなみに「Be Cool」では、エアロスミスのスティーヴン・タイラー(リヴ・タイラーの父ちゃん)がしっかり演技していたり、ザ・ロックがゲイを演じて歌って踊ったりもしています。生き馬の目を抜くアメリカのショウビズで活躍する人々は、やっぱり凄いなあ!
 
 …ということで両作品を比べてみましたが、考えてみれば三谷幸喜監督は、アメリカで言えばハリウッドとは違った独自のスタイルで 映画作りをするウッディ・アレンみたいな監督ですから、所詮「THE有頂天ホテル」と「Be Cool」を比べること自体が御門違いだし、同じ物を求めてはいけないのかもしれませんね。
 
 ☆☆☆★★
 

 「NOTHING」

 「CUBE」や「カンパニー・マン」を監督したヴィンチェンゾ・ナタリの異色のサスペンスミステリーという謳い文句に釣られて観てみたら、これが正真正銘のトンデモ映画でした。もう、なんてったって「NOTHING」ですよ!内容を説明したら…
 
 
 
 
           なんにもない
 
 
 
 
…ですからね。凄いですね!このアイデア、作家として一度はやってみたいと誰しも思いますが、本当にやったのは、逆に偉いと誉めるべきでしょうか?
 まあ、そんなわけですから、評価の方もナッシングということで…
 

 「青空のゆくえ」
 
 誰しもが一度は通る青春の輝ける時。それを真正面から描いた、気恥ずかしい程素敵な作品です。とにかく登場する若者達がみなキラキラと輝いて眩しく、私は遠い昔の思い出を呼び起こされて胸が痛くなりました。青空のかなた、どこかに僕は青春を置き去りにしてきたのではないかってね…。
 
 何のことはない話ですが、観ていてこんなに清々しい気持ちになるのは「初恋の来た道」以来かも知れません。それも、現代の若者を描く小品で味わえるとは夢にも思いませんでした。役者の演技も自然だし、脚本も演出も撮影も音楽も素晴らしいです。去年公開された作品ですので、これは間違いなく去年の邦画ベスト1でしょう。
 
 長澤雅彦監督の次回作「夜のピクニック」も要注目です!
 
 ☆☆☆☆☆★★★★