11月19日 「炎のゴブレット」
実は先日自転車で転んでケガをしまして、皆さんに心配かけないように黙っていたのですが、仕事関係の人に事情をいちいち説明するのも面倒なので、ここで報告しておきます。そんなわけで、色々遅れておりまして申し訳ありません。
と言っておきながら、今日も行ってしまいました、ワーナー・マイカル新百合ヶ丘。「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」の先行上映です。さすが人気作品だけあって、もう他の映画とは桁違いの盛り上がりようです。先行なのに朝から3スクリーンも独占して、いずれも満杯なんだから驚きますね。以前みたいな特設売店は出来てはいませんでしたが、売店の中身はほとんどポッター関係で占められています。そこに女の子がわんさか群がって、まるでバーゲン会場のような騒ぎです。まあ理由は何であれ、映画館が賑わっていることは喜ばしいことです。さてこのシリーズ第4作、原作は読んでいませんが、内容も何だか凄いことになっているようですよ。
「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」
驚くべきことですが、このシリーズは回を重ねるごとに良くなっているような気がします。もちろん主役の3人を始め、出てくる子供達がみんな成長しているので、4作目ともなると、幼い頃の面影は薄くなり、大人へと着実に変貌してしまっています。その意味でシリーズ最大の魅力のひとつは確実に失われているわけですが、今度は青春学園ドラマとしての新しい魅力が生まれました。 なにしろ彼らの関係がより複雑に絡み合い、思春期の戸惑いや男の子と女の子の思惑の違いなど微妙なニュアンスまで繊細に表現されているところが実に面白いのです。ここにきて、私は初めて原作者が女性だということを強く認識しました。
そして今回大きく変わったところは、初めてイギリス人の監督が演出したことでしょう。この違いは画面や構成に大きく反映され、暗くて寒々しく、冷酷な雰囲気を醸し出し、主人公達の生命の危うさを明確に表しています。ですから、ハリウッド映画のような楽天主義はなりを潜め、物語は最初から死の危険をはらんだ、実にスリリングで奇っ怪な展開を見せてくれます。ある意味ようやく正統派ファンタジーの様相を呈してきたという感じで、大変喜ばしく思います。
美術と音楽は相変わらず素晴らしく、ドラゴンや空飛ぶ馬車などうっとりするような幻想シーンを随所に見せてくれます。特にエンディングの美しさは特筆物で、思わず胸がジーンと熱くなりました。(と言っても、私だけかも知れませんが…)
とにかく2時間37分の間、ひとつもダレるところなく、全てのシーンが見せ場という、とても贅沢な作品です。盛り沢山の内容を3時間内に収めるということで、さすがに忙しい内容になりましたが、この構成力は大したものです。ただ、前の作品に出たキャラクターや新しく登場する人物が大変多いので、原作を読んでいる人以外はなかなか内容を把握しづらいかもしれません。いずれにせよ、個人的にはシリーズ最高の出来だと思います。
(以下ネタバレに限りなく近いので自主規制)
しかしよく考えてみると、闇の配下の連中は実にまわりくどい方法で目的の物を得ようとしています。もっと簡単な方法がいくらでもあるのにと思うのですが、わざわざこんな手の込んだことをするのは何故なのでしょう?そりゃ、もちろん読者や観客を驚かせたいだけなのですが、それを言っちゃあ身も蓋もない。そこはそれ、やはりポッターをいたぶるだけいたぶって、恐怖と憎悪と失望感を増幅させて楽しんでいるのですよ。…ということは、もしやポッターをダークサイドに取り込もうなんて考えているのかもしれませんね。ってことは、名前を呼んではいけないあの人も、実は…だったなんてことになったりして……。
☆☆☆☆☆★★★★
(☆は個人的好き度、★はお奨め度。ただし赤はマイナス!)
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