1月1日 「新年から、ありえねぇ〜!!!」
 
 毎年のことですが、大晦日に品川の実家に戻って新年を迎えました。新年恒例のボウリング対決は、弟が腰を痛めたので今年は中止です。その代わりに品川プリンスシネマで映画を観ました。なにしろ今日は映画の日ですから、これは逃せません。そして観たのが「カンフーハッスル」です。
 
 「少林サッカー」でお馴染みのチャウ・シンチー主演監督カンフー映画です。前作でも相当ハチャメチャでしたが、今回はトンデモ度が更にパワーアップして、もの凄いことになっています。最近の映画はワイヤーアクションとCG技術でどんなアクションも可能になりましたが、この映画はそんじょそこらのハリウッド映画とは一枚も二枚も上手です。
 
 なにしろ往年のカンフー映画のスターやマーシャルアーツの達人たちが本気でおバカなアクションを演じているんですから恐れ入ります。とにかく型の基本がしっかりしているので、全ての動きが見事です。「マトリックス」のパロディーをやっているのに、これと比べたら「マトリックス」の方が子供のお遊戯に見えてしまいます。そう、この映画の印象はまさに「本物より凄い偽物」です。(もっとも、「マトリックス」の方がカンフー映画のパロディーなので、そうも言い切れないのですが…)数々のカンフー映画やハリウッド映画のパロディーを織り交ぜながら、もの凄い力技で一本のカンフー映画を作り上げてしまったという感じです。
 
 全編殆ど漫画としか言いようのないキャラやエピソードで溢れていますが、庶民生活の描写は驚くほどリアルで、ちょっと黒沢映画の雰囲気さえ漂わせています。そこがこの映画をタダのおバカ映画で終わらせていない所かも知れません。とはいえ、今回は余りに沢山の要素を詰め込みすぎているので、一つ一つの印象が薄まっている気がします。
 
 お話としても、上手く簡潔にまとまってはいますが、「少林サッカー」のような爽快感が今一つ感じられません。それも多分、あまりに要素を詰め込みすぎてお話のタメの部分に余裕がないからでしょう。(以下ネタばれにつき自主規制)
 
 主人公が開眼するまでにもタメが欲しいですし、それ以前に主人公達が絶体絶命のピンチに追い込まれなければなりません。更に、今回は女性キャラの美麗なアクションが欠けていますので、例の少女も奥義書を読んで秘技に開眼していたことにして、最後に加勢に現れれば、もっと面白く爽快なエンディングを迎えられたに違いありません。
 
 それと、カンフー映画の特徴ではありますが、簡単に人が死ぬのは手放しで喜べません。おバカ映画らしく、大ケガ程度で止めた方が良かったと思います。
 

 とはいえ、このおバカ映画に真面目に取り組んだ達人たちには、ホントに頭が下がりますし、愛おしいほどに笑えます。カンフーファンなら是非とも、そうでない人も初笑いにお奨めしたい作品です。でも、正月からこんな「ありえねぇ〜!」映画を観たら、今年はホントに「ありえねぇ〜!」年になるかも?