8月15日 「マイケル・トッド」
 
 ビックカメラのポイントでもらった「80日間世界一周」のDVDを観る。この作品はあらゆる意味で素晴らしい映画だ。なんてったって、アカデミー賞5部門受賞だ。それも、「十戒」「王様と私」「ジャイアンツ」という映画史に残るような名作達を押さえての作品賞受賞だ。更に凄いのが、この映画で初めて採用された「トッドAO」方式。それまで3台のカメラを使って撮影されたシネラマ方式に変わって、1台のカメラでパノラマ撮影を可能にした画期的な方式だが、名前からも分かるように、これを開発したのが映画の製作者と同じマイケル・トッドその人だ。
 
 「80日間世界一周」は英国紳士のフォグが80日間で世界一周出来るかという賭けのため、数々の困難を乗り越えながら見事旅を貫徹するだが、賭に勝って大金は入るわ、旅の途中で救ったインドのお姫様とも結婚しちゃうわ、まるで夢のような話である。
 
 しかし、これは製作者のマイケル・トッド自身の話でもある。だれもが失敗すると思っていた、途方もない映画を大金を賭けて製作し、それを見事実現するや、あこがれのエリザベス・テイラーと電撃結婚し、映画のキャンペーンのため、今度は夫婦で本当に世界一周してしまった。
 
 確かに劇中のシャーリー・マクレーンはどこかしらエリザベス・テイラーに似ているし、多分にマイケル・トッドは主人公のフォグと自分をダブらせている感がある。そういうわけで、この豪華な映画を観ていると、まさに漢のロマーンを感じずにはいられない。
 
 ちなみに、この映画にはフランク・シナトラやマレーネ・ディートリッヒ・バスター・キートンなどたくさんのスターがちょい役で顔出ししているが、これを「カメオ出演」と称したのも、マイケル・トッドだった。