12月19日 「すべてはジョージの為に」
 
 ビートルズは後世の音楽のみならず文化においても多大の影響を与えましたが、ジョン・レノンやポール・マッカートニーは言うに及ばず、中でもジョージ・ハリソンが英国文化に残した足跡はとてもユニークなものでした。なにしろ彼の協力がなければ、モンティー・パイソンはあれほど有名にはならなかったかも知れないし、テリー・ギリアムの「タイム・バンディッツ(バンデッドQ)」も製作されなかったし、ということは「ブラジル」だって生まれなかったし、それに触発された多くの素敵な映画も作られなかったかも知れないのです。
 
 注文していたDVD「コンサート・フォー・ジョージ」が届いたので、早速観てみましたが、これはとてもとても素晴らしいDVDです。ジョージの一周忌を記念して、ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで開かれた追悼コンサートの模様が収録されています。しかもコンサート全編146分観られます。特典映像には100分の劇場公開版も入っているし、もちろんリハーサル風景など舞台裏の模様も収録されていて、とても楽しいです。
 
 コンサートには生前ジョージと親交の深かった面々が集まりました。エリック・クラプトンやジェフ・リン。トム・ペティにビリー・プレストン。ジョージが敬愛するジョー・ブラウン。もちろんポール・マッカートニーやリンゴ・スターもいます。インドからはラヴィ&アヌーシャカ・シャンカールも来ました。そして愉快なモンティー・パイソンとトム・ハンクスが会場を沸かせます。
 
 もちろん演奏は絶品です。超一流のメンバーが集まり、みんなジョージのために心を一つにして演奏し歌います。複数のバンドが同時に演奏するため、ギターが8つドラムが4つという具合に楽器が重複しますが、みんなが協調し合い絶妙のアンサンブルを奏でます。
 
 そしてコンサート中、いつもその中心にいるのが、ジョージの息子ダニー。これがまた若き日のジョージに瓜二つです。まるで昔のジョージがその場にいて彼の所だけ時間が止まっているような錯覚を覚えます。ポールが懐かしそうにジョージにもらったウクレレを奏でてエリックとコーラスする「サムシング」も感涙ものです。でも悲しんでばかりではいけません。ジョージが言っていたように、人生は楽しまなくては。さよならジョージ。そして夢で逢いましょう。