11月7日「北の国から」
 
 突然、北海道から電話が来た。Fメガネ店の会長さんからだ。なんと20年ぶりだ。あまりに懐かしいので、色々とお話ししてしまった。実は昔、札幌のFメガネ店で働いていたことがあり、当時専務だったKさんに色々とお世話になった。
 
 何で私が眼鏡店で働いていたのか不思議に思う人もあるだろうが、理由は簡単。実家が眼鏡店をやっていたので、家を継がせようと親が無理矢理修行に行かせたのだ。それも、東京では簡単に漫画の仕事にありついてしまうので、北の地に島流しすれば出来ないだろうという考えからだ。もっとも、漫画は何処にいても描けるので、何処に飛ばされようと全く関係なかったけれど…。
 
 ところでこのFメガネの狸小路店は当時日本で一番大きな眼鏡店だったので、1日の来客数も半端でない。私も多い時で1日30〜40人の視力検査をしたから、1年あまりで5000人位の眼を覗いたことになる。瞳を覗くとその人の生活や悩みが見えてくるから実に興味深い。こうして北海道に飛ばされた経験も、今にして思えば結構その後の作品に生かされていたりして、決して無駄ではなかったようだ。