2月23日

 ついに「ロード・オブ・ザ・リング」を観る日がやってきた。とにかくこの原作「指輪物語」が無ければ、全てのRPGも数多のファンタジー小説も「スターウォーズ」も「ハリー・ポッター」も「ポポロクロイス物語」だって、この世に生まれなかっただろう。それくらい偉大な原作の映画化だから、もう余程の覚悟がなければ作ることは出来ない。いや、今まで何度も映画化が試みられて来たけれど、アニメでさえも完成させることが出来なかった。もはや実写では絶対に不可能だと思われていたこの作品を映画化しようというだけでも敬服に値する。この不可能に挑戦したピーター・ジャクソンの心意気に、まず拍手を送りたい。

 この記念すべき映画を観るのだから、当然同じファンタジーを目指す同志、「ピグマリオ」の和田慎二さんと観なければならない。そんなわけで例によって福田クンの車に同乗して、3人で新百合ヶ丘のワーナー・マイカル・シネマズに出掛ける。今日は3月2日の公開に先駆けて、先行レイトショーがあるのだ。レイトショーといっても最初の回は午後2時5分からあるので、昼間から観れてしまう。試写会で観られなかったので、風評が蔓延する前に、とにかく一刻も早く観て安心しよう。

 そんなわけでようやく観ました「ロード・オブ・ザ・リング」!感想は次の通り、観ていない人のために伏せ字にしておくけれど(映画を観たら、カーソルで文字を反転させて読んでね)、とにかく素晴らしい作品だった。映画史に残る偉業だと思う。有り難うピーター・ジャクソン♪

 「ロード・オブ・ザ・リング」。
日本版タイトルは気にくわないけれど、凄い!凄い!凄い!凄すぎる!よくぞここまで重厚に、妥協を許さず作ってくれたものだ。原作の大長編をどうまとめたのかが心配だったけれど、いやぁ、上手く判りやすくまとめたもんだ!この脚色の腕はまさにアカデミー賞ものだと思う。一つ一つのセリフは簡潔だけど、深く重みがあり、作品の根底に流れる奥深いテーマを浮き彫りにさせているところが、幾多の似非ファンタジーと一線を画している。流石だねぇ!

 また、小道具一つ、衣装一つにも細心の注意を払い、その背景にある歴史や意味を物語らせ、しっかりとした世界観をちゃんと描いているのには感心させられる。他方、スペクタクル・シーンでは大胆に、これでもかという物量と巨大さをもって、セルゲイ・エイゼンシュタインも真っ青というような驚愕の映像を見事に実現させている。

 美術も凄い!造形も凄い!特殊メイクも凄い!撮影も凄い!音楽も音響も凄い!これぞファンタジーという、夢見るようなデザインと風景には唯々驚かされるばかりだ。ファンタジーで観たかった映像、夢見た風景がまさにここにある。しかもこの映像に、見事なまでに音楽が溶け込んで、酔いしれるような幻想空間を作り出している。それでもって、主題歌がエンヤだからね!もう初めから最後までファンタジーのツボにハマりまくりだ。いやぁ、ここまで徹底的に見せられると、今後下手なファンタジーはみんな偽物に見えてしまうかも知れない。「スターウォーズ」でさえも、アメリカナイズが鼻について、少なからず心配になって来たぞ。

 しかも驚くべき事に、剣劇やアクションに関しても一切抜かりがない。剣の使い方にしても、意外な程正統派だったりする。今流行りの、剣を持ってクルクル回るなんていう見せかけの無駄な動きはしないから、むしろ新鮮な驚きさえある。日本刀じゃないんだから、やっぱり叩き割らなくっちゃね!それに短剣や弓の技は映画史に残る格好良さだ!今までこれ程、弓矢が活躍した映画は無かったんじゃないかと思える程の出来だ。これもCG技術の進化の賜物だろう。それにしても、今回の最強の武器は弓に違いないね。

 とにかく、この映画には死角が無い!アカデミー賞13部門ノミネートも頷ける。まさに「ベンハー」に匹敵するか、それ以上の金字塔と言っても過言ではない。出来れば全部受賞させてあげたいくらいだけれど、アメリカ人がニュージーランドの監督の作品をちゃんと評価するかは少々疑問の残るところだ。

 というわけで、「ロード・オブ・ザ・リング」はまさしく映画史に偉大な足跡を残す作品だ。果たして後に続くシリーズ2作がどのような出来になるかは判らないけれど、これ以上の凄い映像を作り上げてくれることは間違いないだろう。ただ、日本語タイトルをどう付けるのかが気になるなぁ。やっぱり「Ⅱ」とか「Ⅲ」とか付けるんだろうかね?いずれにしても、次回作の公開が待ち遠しい。