4月30日「新型コロナワクチンの奇跡的な真実」

ゴールデンウィークに入り、いつもなら海外旅行や帰省客やらで空港も駅も満員で、高速道路も車で渋滞という映像がTVニュースで映し出されるのですが、今年もコロナ禍で緊急事態宣言が出されて、人の流れを極力抑える方策のため、どこもかしこも去年のように閑散とするかと思いきや、緊急事態慣れなのか、相変わらず人出が多いようです。しかし、ウィルスの変異種が猛威を振るい始めている昨今、新規感染者数の推移が気になるところです。では、どうしたらこの事態を好転させることが出来るかというと、それは間違いなく一刻も早いワクチン接種で集団免疫状態を作ることに他なりません。
しかし、それでも従来と比べてあまりに短期間に今回のワクチンが開発されたことに対して不信感を持つ人が多いようです。そんな人のために2月12日放送の「町山智浩のアメリカの今を知るTV」で米国立研究機関博士研究員の峰宗太郎博士が解説しています。

今回のワクチン製作にあまり時間がかからなかったのはなぜかというと、まず第一に「技術革新」があげられます。つまり、ウィルス自体の研究する速度が上がったということです。
2002年から翌年にかけて8千人を超える症例が報告されたSARS(重症急性呼吸器症候群)の時は、ウィルスのゲノム情報を解析するのに数週間かかっていましたが、今回の新型コロナウィルスの解析は、なんとたった一晩で済みました。
MARSやSARSなどの経験があったので、それぞれの成分が何をしているのか?ということも類推なども使って早く判明し、そのおかげで、ワクチンのターゲットをどこにすれば良いのかということも素早く確定出来ました。そんなわけで、ウィルスのゲノム情報が分かったわずか40日後位にはモデルナ社はすでにワクチンを作れていたのです。
このRNAワクチンというものは、この10年間で非常に発達してきた最新鋭の技術を寄せ集めたようなワクチンですので、そもそもワクチン製造自体が非常に早く出来るのです。
そして第二に、「パンデミックを背景として、ワクチンを急いで作ろうという機運があった」ということがあげられます。例えばワクチンの認可をする当局の認証試験が始まった時点からプロトコルなどのチェックをして、最終的なデータが出たらすぐに審査に入れるように、あらかじめ製薬会社と一緒に準備をすることで、前倒しの承認プロセスの最適化が図られていました。だからといって、もちろん審査の手を抜いたわけではありません。むしろ今までのゆっくり開発していた頃よりもしっかりと審査されているという面もあります。(この辺は是非日本も見習って欲しいです!)
つまり、何も省かずに全力で投球した結果として非常に素早く良いワクチンが出来たという点で、今回のワクチン開発は人類が成し得た奇跡というほどの素晴らしい出来事だといえます。
今回開発されたファイザー社、モデルナ社のメッセンジャーRNAワクチンは95%の「発症予防効果」と、明確な「重症予防効果」(ワクチンを投与して重症化する人が極端に少ない)と、60%程の「感染予防効果」(感染した人が他人に移さない効果)があるとされています。
抗体の出来方から言うと、モデルナ社のワクチンで得られるウィルスに対する防御能力は、1回目の接種で約50%の効果が得られ、2回目の45%の効果と合わせて95%の効果が得られます。
「集団免疫」とは集団の中で免疫を保留している人の割合がある一定の割合よりも多くなった場合、「実行再生産数(Rt)」(すでに免疫をもっている人がいる集団の中で一人の感染者から何人に感染するかという平均値)が1よりも小さい数値を維持していられるということです。(実行再生産数が1よりも小さいと言うことは次第に感染者数が減っていくと言うことです)
今回の新型コロナウィルスの基本再生産数(Ro)(まだ誰も免疫を持っていない集団の中で一人の感染者から何人に感染するかという平均値)は2.5ほど(一人から2.5人に感染する)なので、約60%の人が完全な免疫を保有すれば集団免疫状態になります。
つまり、免疫を持っている人が増えれば増えるほど実行再生算数(Rt)は下がりますし、さらにマスクをつけたり三密を避けるなどの基本的な予防策を合わせれば実行再生算数(Rt)はより下がるのです。ですからワクチン接種後も予防策を維持し続けることが大切です。
また、ワクチン接種で特に懸念されるのがアナフィラキシー(何かしらのアレルゲンなどに対して全身性のアレルギー反応が引き起こされる状態)ですが、ファイザー社のワクチンで100万人に5人、モデルナ社のワクチンで100万人に2.8人の割合で起こる可能性があるといわれています。これを多いと見るか少ないと見るかは意見の分かれるところですが、そもそもワクチンは病気の人に投与する治療薬と違って、予防措置として健常者に接種するものですから、デメリットが強調される傾向があります。
接種するかしないかは個人の自由ですが、コロナ禍から早く脱するには一人でも多くの人がワクチン接種をして集団免疫状態になることが求められていますので、出来ればワクチンを接種することを期待します。
さて、今回のパンデミックでワクチンの有用性が認められたおかげで、日本の将来についても明るい希望の灯が点りました。それは、ワクチン開発に後ろ向きだった日本でもワクチンの開発が活発に行われるようになったことです。中でも注目されるのがメッセンジャーRNAワクチンをさらに改良した「レプリコンワクチン」という次世代ワクチンの開発です。これは自己増殖RNAなので、従来のメッセンジャーRNAワクチンよりも極小量の接種でも高い効果が見込まれます。なにしろ今回のワクチンで言えば、ファイザー社のワクチンが30マイクログラム、モデルナ社が100マイクログラムのワクチンを打っているところを、「レプリコンワクチン」では、たった1マイクログラムで済んでしまうのです。しかも、おそらく1回の接種で済んでしまうでしょう。ということは、日本全人口分のワクチンをたった一つの工場でまかなえるくらいの製造効率の良さを持っていると言うことなのです。
ですから、今後新型コロナウィルスが変異して、その都度ワクチンを打つことになろうとも、決して悲観する必要はありません。なぜならば、次回は輸入に頼らずとも、日本製の優れたワクチンを極少量1回接種するだけで済むようになるかもしれないからです。