SEPTEMBER
 2012
Diary

9月1日「プロメテウス」&「アベンジャーズ」
「プロメテウス
 久々のリドリー・スコット監督作で、しかも「エイリアン」の前日譚だということで期待してしまうのですが、CMで流される「種の起源」という言葉には一 抹の不安を感じてしまいます。どうも大風呂敷を広げすぎではないかと思うんですね。こういう場合は大概収拾がつかなくなって失敗に終わることが多いもので す。
 古代壁画に描かれた人類の創造者"エンジニア"の存在を確信した考古学者エリザベスはウェイランド社からの支援のもと、アンドロイドのデヴィッドら16人の乗組員とともに、宇宙船プロメテウスで壁画の指し示す恒星系へと向かう。だが、そこに待っていたのは…。
 「種の起源」という点についても、異星人がいったい何をやりたかったのかが全くわからないので、大きな不満が残ってしまいます。そして、「エイリアン」 に繋がっているかというと、些細なところで実は全く繋がっていません。大きな期待をさせながら、この穴だらけの貧弱なシナリオはいったいどうしたことで しょうか?まさか謎の解明は続編任せというわけじゃないでしょうね?いや、その気だとしても、続編があるかどうか?
 しかし、相変わらずビジュアルは素晴らしいです。登場する近未来装置の数々も非常に興味をそそります。「刑事ジョン・ルーサー」のイドリス・エルバも頑張っているし、高評価をつけたいところなんですが…。
 ☆☆☆★★★
 
「アベンジャーズ」
 S.H.I.E.L.D.が秘密裏に調査していた四次元キューブが突如暴走し始め、そこに現れた邪神ロキに奪われてしまう。地球の危機を救うため長官ニック・フューリーは、アベンジャー計画を発動する…。
 CMの謳い文句は「日本よ、これが映画だ!」。なんと、自信満々の上目線な言葉でしょうか。「これが映画だ!」と大見得切られても困ってしまうのです が、「これがハリウッド映画だ!」と言われれば、確かにその通りと言わざるを得ません。実に豪勢な娯楽巨編で、日本映画人から見れば、確かにうらやましい 限りです。いや、もうあまりの力の差にぐうの音も出ませんぜ。
 それは40億ドルでマーベル・エンタテインメントを買収したディズニーにも言えることです。なにしろ、「Xメン」(20世紀フォックス)も「アイアンマ ン」(パラマウント)も「インクレディブル・ハルク」(ユニバーサル)も「マイティー・ソー」(パラマウント)もみんな他社が手掛けてヒットした作品で、 それらをまとめてディズニーは手中に収めてしまったのです。世界中の童話を自社キャラで独占したかとおもえば、今度はコミックの世界にも手を広げようとい う節操のなさに、ただただ呆れるばかりです。まさに、「日本よ、これがディズニーだ!(ちっともオリジナルはないけれど…)」ですね。
 という愚痴の一つも言いたくなるくらい、この映画は確かに良くできています。登場するスーパーヒーロー1人1人に見せ場をちゃんと用意するし、最初は反 発し合うキャラたちがいかに力を合わせて、最後は一致団結するかまでを丹念に描いているし、もう、これで盛り上がらないわけがないというくらいに良くでき ています。それにしても、登場するスーパーヒーローたちが、どう咬み合うかが心配でした。なんてったって、マイティー・ソーは神様だし、ハルクは化け物だ し、キャプテン・アメリカは軍隊バカだし、アイアンマンはもともと武器商人だし、ホークアイやブラック・ウィドウはただの人間だし、考え方も力量も差があ りすぎて、到底ひとつのパーティにまとまるのは不可能と思えてしまうのです。
 ところが、その不可能を可能にしたところが、何より凄いと思いました。ただの人間のホークアイとブラック・ウィドウには007顔負けの秘密兵器を装着さ せて、ジェダイ・マスターの如く大活躍する姿には胸が熱くなります。そして、やっぱりキャプテン・アメリカにはチームリーダーがよく似合う。でも、おちゃ らけアイアンマンと化け物ハルクに神様マイティー・ソーはやっぱり油断がならないという、潜在的危機感も漂わせて、もう〜憎いね!
 で、余談ですが、原作者のスタン・リーが相変わらず元気な姿を見せています。
 ☆☆☆☆☆★★★★★(最後のおまけの痛烈な批判精神に★ひとつ!)