AUGUST 2011
Diary

8月2日
「映画の感想」
 ここ数ヶ月の間、すっかり日記をご無沙汰していて、映画の感想がたまってしまいました。その間に観た映画の感想です、多分…。

「ガリバー旅行記」
 ジャック・ブラック(ブラック・ジャックではない!)主演のコメディー映画です。スイフトの名作を、よくもこんなおふざけ映画にしてくれたもん だと、怒り心頭ですが、まあ、観ているぶんには、素敵なCGシーンもふんだんに使っているし、飽きずに観られるかなというところでしょう。
 ☆☆★★★
 
「パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉」
 シリーズのスピンオフと言うよりは、新シリーズの幕開け的作品です。前シリーズは結局エリザベス・スワンとウィル・ターナーの愛の物語が主軸 だったのですが、脇役のジャック・スパロウが人気を博し、主役を完全に食ってしまった格好です。でも、この女一人に男二人のコンビは「冒険者たち」に代 表されるようにコンビの黄金律であり、これを破ってジャック・スパロウに独り立ちさせるのは、いかにも心細いです。
 それを補完するように、恋人役のアンジェリカや、新たに宣教師のフィリップと人魚のシレーナの恋人同士を登場させていますが、男二人の女二人ではどうも不安定感が残ります。興行的には成功していますが、先行き不安な幕開けとなりました。
 それに折角の3Dですが、全体的に画面が暗くて、3Dはあんまり効果がないように見えました。
 ☆☆☆★★★

「ブラック・スワン」
 ニューヨーク・シティ・バレエ団の新演目「白鳥の湖」のプリマ候補に選ばれたニナ。彼女は白鳥の演技は完璧だったが、監督のルノワは白鳥と正反対の黒鳥の演技も彼女に求めた。
 
 曲がりなりにも創作活動家ならば、必然的に他人の批評に曝されるもの。そんな時支えとなるのが、自分への揺るぎなき信頼なのですが、その信頼が時として揺らぐこともあります。それがいわゆる「スランプ」であり、それを克服出来てこそプロというものなのです。
 私はこの作品を観て、我が身のことのように感情移入してしまいました。主人公のニナの気持ちが痛いほどよく分かります。それ故、至福の表情のナ タリー・ポートマンの最後の台詞に思わず涙してしまいました。こんな気持ちでこの映画を観た人なんて、この劇場で私一人くらいでしょうが、後日和田慎二さ んにそのことを話したら、しっかり同意してくれました。そう、故和田慎二さんが最後に観た劇場映画でもあるのです。その意味で、私にとっても忘れられない 作品になりました。
 アカデミー賞主演女優賞は当然ですが、作品賞を与えても良い出来だと思います。非常に特殊な作品ではありますけれど…。
 ☆☆☆☆☆★★★★
 
「コクリコ坂から」
 やや単調な演出ですが、これが宮崎吾朗の味とも言えないでもありません。父駿氏とは両極端なところが面白いです。結果、このような地味な作品には合っているような気がします。
 それにしても、監督が生まれてもいない時代を描くとき、それはまさにファンタジーなのでしょうね。絶望の淵にあっても希望を捨てず、人を信じる事が出来た良き時代。それこそが、現代人が渇望してやまない未来図なのかも知れません。
 物語の肝の部分を暴露したCMは、この作品の興業にマイナスとしか思えないのですが…。
 ☆☆☆★★★
 
「SUPER 8」
 S.S.(スピルバーグ)もJ・J・エイブラムスも、みんなカセットポンの「SUPER8」が映画作りの原点でした。そんな映画少年たちを主人 公に、グラインドハウスで観たB級SFさながらの冒険を繰り広げます。J.J.がS.S.の後継者たることを高らかに宣言しているようにも見えますが、所 詮S.S.とJ.J.は水と油。そんな二人の個性のぶつかり合いが、エイリアンの性格を「友好的」なのか「危険」なのかあやふやにさせ、作品の印象を据わ りの悪いモノにしています。
 結局、主人公たちの作った8ミリ作品が本編よりも面白くて、(隣席のおばさん連中には大受けでした)本末転倒な残念な仕上がりになってしまいました。狙いは痛いほど解るので、その辺りがいかにも惜しいです。
 ☆☆☆★★★
 
「ハリー・ポッターと死の秘宝パート2」
 最終章だけ二部構成にしたことが功を奏し、思った通りクライマックスは大いに盛り上がり、最良のエンディングを迎えることが出来ました。このシ リーズの原作を読むことはもうとっくに諦めていたのですが、シリーズを通して、しっかり伏線が回収されていて、思わぬ展開や、隠されたテーマなども納得の 作品になっています。世界中に愛された作品とはいえ、これ程まで完璧に近く映像化されたことは、まさに原作者冥利につきるでしょう。実に幸せなシリーズと 言えるでしょう。
 ☆☆☆☆☆★★★★

「トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン」
 アポロ11号が月の裏側に着陸したとは初耳ですが、どうせホラなんだからと割り切ったシナリオからして、いかにも大雑把なマイケル・ベイらしい作りですが、ともかく映像は凄い!!!!「これは是非ともIMAXで観るべきでしょう。
 …にしても、凄いシーンのてんこ盛りで、その上3Dときて、時間も二時間超えていますから、観ている方の疲労困憊ぶりも尋常ではありません。ストーリーは二の次にして、理屈抜きで体感してみましょう。
 ☆☆☆☆☆★★★★
 映像を「アイランド」から流用しているらしいですが、プロデューサーも製作スタッフも同じだし、別に問題ないと思いますが…。
 http://rocketnews24.com/2011/07/04/109743/
 
「カーズ2」
 ピクサーにしては米国の映画評論家の採点が低くて心配したのですが、さにあらず、とっても楽しい作品でした。でも、米国車以外が活躍する様を観 て、米国内での評価の低さも納得できます。非常にマニアックな車のうんちくも一般には受け入れられないかも?でも、そんなことを気にせず、マニアックな道 を突き進むピクサーはさすがです。観客に媚びを売らない姿勢が素晴らしいです。
 ☆☆☆☆☆★★★★
 デロリアンもバットマンカーもカーズ風にアレンジしてみると、こうなります。
 http://rocketnews24.com/2011/06/29/108372/