MAY 2010
Diary

5月22日 「ハート・ロッカーとグリーン・ゾーン」
 ワーナー・マイカル・シネマズ新百合ヶ丘で「ハート・ロッカー」と「グリーン・ゾーン」を観ました。どちらもイラク駐留米軍の活動を描いた作品で、2本立て続けに観ると、さすがに疲れてしまいました。

★「ハート・ロッカー」
 バクダット駐留の爆発物処理班ブラボー中隊に、ジェームズ二等軍曹が配属されてきた。彼は上官の命令も無視するような無頼漢だが、爆発物処理の腕は一級だった。だが、その死をも恐れぬ無軌道ぶりが、仲間達の反感を買うこととなった…。
 イラクで働く爆発物処理班の活動を描いていますが、爆発物処理の技術的な面に関しては意外な程あっさりと流して、主にそれに関わる人物の心理描写に重きを置いています。様々なエピソードを淡々と綴りながら、女流監督ならではの視点と細やかな演出で、ジワジワと観る者の心に戦争の狂気を訴えます。
 危険と隣り合わせの任務の連続で、観ている方もハラハラドキドキのし通しですが、次第に感覚が麻痺していき、気づけば戦争中毒の主人公に感情移入しています。狙撃兵の顔にまとわりつくハエや、陳列棚一杯に積まれたシリアルなど、劇中に見せるなにげない描写にも、なかなかの力量を感じさせます。
 ☆☆☆☆★★★★
 
★「グリーン・ゾーン」
 マット・デイモン扮するロイ・ミラー上級准尉がイラク政府が密かに持っているとされた大量破壊兵器の謎を追う、ミステリー仕立ての戦争活劇です。
 ハリウッド映画とあって米国一辺倒かと思いきや、通りがかりのイラク人フレディが主演のマット・デイモン以上に活躍するのが、なかなか興味深いところです。
 ポール・グリーングラスの手持ちキャメラによる撮影と高速カット割り編集は相変わらずです。これによって臨場感とリアリティが醸し出されるのですが、アップでブレた画のアクションシーンはやはり見辛く、観客に何が起こっているのか分かりにくくしています。家庭のモニター画面でのDVD鑑賞には適しているでしょうけれども、大きなスクリーンで観るのに相応しくないなんて、映画としてどうかと思ってしまいます。
 とはいえ、戦時下のバクダットを再現した巨大なセットやCG画像は大変素晴らしい出来です。ニュースで観た画面と全く同じ風景を作りあげたスタッフはホントに良い仕事をしています。スタッフ・ロールに出る「CARPENTER」の文字の多さに成る程と感心させられました。
 でも、さすがに「ハート・ロッカー」の後での鑑賞なので、自然と評価は厳しくなってしまいます。
 ☆☆☆★★★