MAY 2010
Diary

5月1日 「タイタンの戦い3D」と「ウルフマン」
久しぶりにワーナー・マイカル・シネマズ新百合ヶ丘で「タイタンの戦い3D」と「ウルフマン」を観ました。3Dは日本語吹き替え版です。ワーナー・マイカル・シネマズでは眼鏡用のクリップ型3Dメガネがあるので大変助かるのですが、3DTVの方はそうはいかないようです。世の中、3Dで盛り上がっていますが、私はもういいかげんに3Dには飽きてきました。

 久しぶりにワーナー・マイカル・シネマズ新百合ヶ丘で「タイタンの戦い3D」と「ウルフマン」を観ました。3Dは日本語吹き替え版です。ワーナー・マイカル・シネマズでは眼鏡用のクリップ型3Dメガネがあるので大変助かるのですが、3DTVの方はそうはいかないようです。世の中、3Dで盛り上がっていますが、私はもういいかげん3Dには飽きてきました。

「タイタンの戦い3D」

 レイ・ハリーハウゼンが特撮を手がけた最後の長編映画「タイタンの戦い」のリメークです。ギリシャ神話の時代、大神ゼウスと人間の子ペルセウスが、海の魔物クラーケンに生け贄として差し出されたアンドロメダ姫を救い出すまでを描いた冒険物語です。
 
 旧作では、ペルセウスが神々に言われるがままに行動し、アンドロメダと結ばれてメデタシメデタシで終わるのですが、新作はひと味もふた味も違い、ペルセウスの成長物語として描かれています。ペルセウスは育ての親を殺された恨みから神々に敵愾心を抱き、ゼウスからの助力も断り、人間として冥界の王ハデスとクラーケンに敢然と立ち向かうのです。そして意外なことに、今作ではアンドロメダが殆ど脇役にまわり、代わりにイオという謎の巫女が旅の道案内人として相手役を務めます。このように旧作の単純明快な冒険譚を、父子の確執を軸とした複雑なお話に膨らませているのですが、その分見終わった後の爽快感が削がれてしまったように感じます。やっぱり、ヒロインはアンドロメダ姫でなくっちゃ、達成感が無いですよ!
 
 とはいえ、さすがにCGで再現したモンスター達の登場シーンは素晴らしく、それに対する兵士達との攻防戦には充分見応えがあります。個人的には最後のクラーケンよりも、途中登場する大サソリやメデューサの方が魅力的に感じました。特にメデューサは、その妖艶な身のこなしといい、その魔性の美しさには目を見張るモノがあります。もっとも、まともに見たら石にされてしまうけれど…。
 
 ともかく、大作だけあって美術は素晴らしく、モンスターの造形はもちろん、冥界への渡し守カローンの船など実にアイデア溢れたデザインで感心しました。でも、常時輝く鎧を身にまとったゼウスというのは、どうもいただけません。アテナならまだしも、いつも臨戦態勢なんて、オリンポスを治めるゼウスらしくないと思うのは私だけでしょうか?
 
☆☆☆☆★★★(アンドロメダが…こんな仕打ちで良いのか?)

「ウルフマン」

 19世紀末、舞台俳優のローレンス・タルボットは、英国ブラック・ムーアの生家に帰ってきた。兄の失踪の知らせを受けたからだ。だが、彼を待っていたのは無惨に引き裂かれた兄の遺体と、満月の夜に出没する謎の殺人鬼だった…。
 ゴシック・モンスター・ホラーの雄、「狼男」(1941)のリメイクです。ベニチオ・デル・トロ(殆ど素顔が狼男!)とアンソニー・ホプキンス(殆ど怪人!)という二人のアカデミー賞俳優を迎えていることでも、並々ならぬ本気度が伝わってこようというものです(実際にはカットされましたが、マックス・フォン・シドーも出演していたそうです)。豪華な出演陣といい、ヴィクトリア時代を見事に再現した美術といい、もちろんリック・ベイカーによる意欲的なメイキャップ技術も素晴らしく、「狼男」のリメイクとしては、ほぼ完璧に近い出来と言ってさしつかえないでしょう。
 父子の確執を軸に、愛と呪いに翻弄される男の姿を描き、更に「切り裂きジャック」を捜査したアバライン警部という実在の人物を絡め(「フロム・ヘル」の続きと考えても面白いです)、虚実を織り交ぜたミステリー仕立てのシナリオはなかなか見事です。ただ、あまりに色々な要素を詰め込みすぎたせいか、旧作にもあった「愛は呪いに勝てるか?」というテーマ(…だったと思うけど)に関しては少々中途半端な印象が残ります。
 それにしても「狼男」というと、どうもダークでマイナーなイメージは避けがたいです。美形のバンパイアが出るわけでもなく、ネタ的に当たるかというと否定的にならざるを得ません。案の定、公開したばかりだというのに、シネコンで一日一回しか上映しないという体たらくです。この分だとアッと言う間に公開打ち切りになってしまうでしょう。劇場で観るなら早めに行っておくことをお奨めします。

☆☆☆☆★★★
(「タイタンの戦い」同様、共にリメイクで、共に父子の確執がお話の軸となっている点が興味深いところです)