MAY 2009
Diary

5月19日「天使と悪魔」

 109シネマズは10周年記念で、毎月10日は誰でも、19日がブロンズカード会員に限って、1000円で観られるのです。また神奈川県内のワーナー・マイカル・シネマズでは、毎月20日には何だか分かりませんが1000円で観られるのです。というわけで、109シネマズへ「天使と悪魔」を観に行きました。

 ある日、ハーバード大のラングドン教授の許にヴァチカンから使者がやってきて、教授に力を貸して欲しいとのメッセージを告げます。前回「ダ・ヴィンチ・コード」で非常に険悪な関係になったヴァチカンからの依頼に訝しむ教授ですが、「イルミナティ」の紋章を見せられて、何か言いしれぬ危機を感じた教授は申し出を受けることにしました。「イルミナティ」とは元々16世紀のイタリアで科学者たちが結成した友愛結社ですが、教会の弾圧を受けて地下に潜伏し秘密結社化しました。その「イルミナティ」がヴァチカンに対し何を謀ろうといるのでしょうか?
 折しもヴァチカンでは教皇が急逝し、次期教皇を選ぶコンクラーベの儀式が厳かに開かれようとしていました。更にその前日には、スイスの欧州原子核研究機構(CERN)から、反物質を収めた容器が何者かに盗まれるという事件が起きていたのです。こうして、ラングドン教授はスイスから来たヴィットリア博士と協力して、ヴァチカン市国を巡るイルミナティの陰謀に立ち向かうことになるのでした…。
 
 実際、反物質がこうも簡単に生成され、それをどうやって電磁石の容器に収めるかは知りませんが、ともかく宇宙生成の鍵を握る反物質ということで、神の領域を科学が侵すという構図上必要な要素だったのでしょう。この少々SFっぽい設定も、ヴァチカン市国を始めローマの歴史ある名所旧跡と荘厳な美術品の圧倒的な存在感の前には陰を失い、素直に受け入れたくなってしまうから不思議です。
 
 このヴァチカン市国の撮影ですが、当局から撮影の許可が下りるワケもありません。当然CGと大がかりなセットで復元したのでしょうが、これがなかなか見事な仕上がりで、まるでその場にいるような気分にさせられます。最近の映画におけるCGの多用に辟易気味の私でしたが、こういうCGの使い方なら大歓迎ですね。
 
 この「天使と悪魔」は原作ではラングドン教授シリーズの第一作目にあたるのですが、映画では「ダ・ヴィンチ・コード」の後日ということになっています。では、ヴァチカンのカメルレンゴは何故仇敵ラングドン教授に救いを求めてきたのでしょうか?当初この辺りが謎だったのですが、映画を見終わると、成る程と納得してしまいました。いや、上手いこと辻褄を合わせたものです。
 
 このカメルレンゴとは、教皇が死亡してから次の教皇が決まるまでの間だけヴァチカンを総指揮する権限を与えられた教皇の侍従のことで、劇中ではユアン・マクレガーが演じています。実は今回の作品ではラングドン教授以上に存在感を誇示しています。額のでき物も取れたようで、これからの更なる活躍に期待が持てます。
 
 原作は読んでいませんが、恐らく余計な所は全部端折って、非常にタイトな脚本に仕上がっていると思います。時間的な制約の中で、ローマ市内を走り回るラングドン教授の姿は、まるで「24」のジャック・バウアー捜査官のようです。次から次へと有無を言わさぬスピーディな展開に、あれよあれよという間に140分が過ぎました。推理を愉しむ暇もなく、その辺りに不満を持つ人もいるかも知れませんが、私としてはヴァチカンやローマの歴史ある荘厳な美術品の数々に囲まれての贅沢な時間を過ごすことだけでも、充分に愉しむことが出来ました。
 
 ☆☆☆☆☆★★★★