DECEMBER 2008
Diary

                 12月31日「2008年映画ベスト10」
毎年恒例の映画総評です。

2008年に劇場で観た映画ベスト10

1)「WALL−E」
やはり、ピクサーに外れ無し。完璧なシナリオですが、後半に揺らぎがあります。その点を、ピクサーの新たな局面への挑戦と受け止めます。
2)「ダークナイト」
ともかく凄い映画です。並の映画2〜3本のボリュームに、この緻密なシナリオといい、いったいどうやったらできるのでしょうか?世界の警察を自認し、自由と平和を守るために世界各地でテロリストたちを懲らしめているのに、世界から反感を買っている米国の姿こそダークナイトそのものなのでしょう。
3)「クローバーフィールドHAKAISHA」
臨場感を追い求めた究極の怪獣映画。ここに登場するのは間違いなく怪獣です。
4)「カンフー・パンダ」
シナリオも動画も大変良くできています。巻頭の2Dアニメも素晴らしい出来です。キャラに馴染めるかという関門さえクリアできれば、充分楽しめます。
5)「ミスト」
見終わった後一週間暗い気持ちになった映画。その原因はミストの中に蠢く怪物にあるのではなく、霧に包まれた人間の心にあるのです。
6)「テラビシアにかける橋」
単なるファンタジー映画と思ったら大間違い。辛い現実を乗り越えた想像の世界だからこそ感動があるのです。テラビシアにかける「橋」の意味を噛みしめると、自然と涙がこぼれてしまいます。
7)「ウォンテッド」
やはり「映画は映像だ!」と思わせてくれた映画。ある意味、映画の壁を破ったかも知れません。これがOKなら、何でもOKになってしまう。これからの映画の将来を左右する、そんな力を感じました。
8)「ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン」
刑事物の単なるパロディーに陥ることなく、独自の世界に昇華しているところが素晴らしいです。
9)「僕らのミライへ逆回転」
ハリウッド映画のビッグ・バジェットに対する皮肉であり、映画作り本来の楽しさとは何かと問いかける映画。
10)「アイアンマン」
プロトタイプから・次々に改良を加えていく過程を詳細に描写しているところが良いと思います。
次点)「スピード・レーサー」
アニメに忠実であるために、実写映像をわざと漫画チックにしたのが仇となって、アニメファンからも敬遠されてしまいましたが、この先進的なというか前衛的な描写も捨てがたいんですね。

2008年にDVDで観た映画ベスト10(多分に偏向気味)

1)「プリンセス・アンド・ウォリアー」
「ラン・ローラ・ラン」「パフューム:ある殺し屋の物語」のスタッフが作り上げた現代のファンタジー。お城(精神病院)に閉じこめられた姫(看護婦)を戦士(強盗)が救い出すという愛の物語。出だしからして、見事な展開です。
2)「フローズン・タイム」
時間の止まった深夜のスーパーが、まるで絵画のように描かれています。なんとも奇妙で、ロマンチックで、美しいファンタジー。
3)「幻影師アイゼンハイム」
幻影師の魔術に欺されることに快感を覚えます。面白さでも、同時期公開された「プレステージ」よりこちらの方が数段勝っています。
4)「ヒルズ・ハブ・アイズ」
TVでは絶対に放送しないであろう凄く危ない映画ですが、ある意味傑作だと思います。
5)「奇跡のシンフォニー」
ニューヨークの騒音でシンフォニーを奏でるシーンが圧巻です。神童なんだから何でも可能という潔さが、かえって気持ちよいです。
6)「アクロス・ザ・ユニバース」
ビートルズナンバーだけでミュージカルを作るなんて、泣かせます。60年代後半の英国と米国を舞台にした群像劇で、ビートルズ自体とも微妙にシンクロしているところが、心憎いです。
7)「モンゴル」
浅野忠信が見事に主役を演じています。主人公達の行動が理解しがたいのは、多分に文化の違いによるものでしょう。「メイキング・オブ・モンゴル 〜浅野忠信 新たな挑戦〜」も観ておくと、より理解を深めることができます。
8)「イースタン・プロミス」
「クローネンバーグの最高傑作」という謳い文句は偽りのないところだと思います。
9)「シューテム・アップ」
「渡り鳥シリーズ」も真っ青の、馬鹿馬鹿しさ満載のガンファイトが楽しめます。ここまで馬鹿を押し通せたら、ご立派です。
10)「フィースト」
B級ホラー一直線の作りが微笑ましく、脱力気味なギニョール・モンスターにもかかわらず、憎めないんですね。

 ということで、来年も楽しい映画が観られることを祈っております。
では良い年を!