OCTOBER 2008
Diary

10月1日「ウォンテッドvsアイアンマン」
 
 今日は映画の日なので109シネマズで恒例の映画鑑賞をしました。本日のお題は「ウォンテッド」と「アイアンマン」です。連日徹夜の仕事が続いたせいか、二本目では不覚にも睡魔が襲ってきました。いかんなあ…。
 
 「ウォンテッド」
 
 「ナイト・ウォッチ」「デイ・ウォッチ」の新感覚映像で我々を驚かせたロシアのティムール・ベクマンベトフ監督が初めてハリウッドと手を組んで撮った新作です。やはりハリウッドはこの才能を見逃さなかったかと感慨深いものがありますが、ハリウッドの波に呑まれて才能を潰されるのではという一抹の不安もありました。が、それはいらぬ心配。ロシア土着の泥臭い感覚と洗練されたVFXがよくマッチして、更なる映像進化を遂げたのでした。
 
 ともかく冒頭からもの凄いアクションの連発で、度肝を抜かれます。物理法則を完全に無視したこの動き。これをマトリックスの世界でなく現実世界の人間がやっているかと思うと、もう、アクションが凄すぎて笑っちゃいます。でも、主人公が鍛錬を受ける様が丹念に描かれる中で、次第に「出来るかも?」と納得させられちゃうんですね。そして一旦この世界を受け入れると、後はどんな超絶アクションが展開されようと、少しも違和感なく観られちゃうんです。シナリオ的にはおかしなところだらけですが、こういう映像を見せられると、やっぱり「映画は映像だ!」と思ってしまうんですね。この映像にはそれ位のインパクトがあります。ある意味、映画の壁を破ったかも知れません。これがOKなら、何でもOKになってしまう。これからの映画の将来を左右する、そんな力を感じました。
 
 その力に大きく貢献しているのが、アンジェリーナ・ジョリーの存在でしょう。やはり大スターの彼女がやるからこそ、どんな嘘も許されるのです。「ウォンテッド」は、まさに彼女の存在無しでは語れません。ですから「ウォンテッド2」に彼女が再び登場することも当然と言えます。もっとも、お話的にはかなりの無理がありますが…。
 
 ところで、劇中「1を倒して、1000を救う」という言葉が出てきますが、どう見ても罪のない人々を1000人以上倒しているのが気になりました。因みに「デイ・ウォッチ」の続編「ダスク・ウォッチ」は一体いつになったら出来るのでしょうか?
 
 ★★★★★☆☆☆☆
 
 「アイアンマン」

 「ウォンテッド」にも言えることですが、小さな嘘を丹念に描き、それを積み重ねることによって、どんなに大きな嘘も観客に納得させられるようになるのです。「アイアンマン」では、主人公がプロトタイプのアイアンマンを作り上げるところから、いかに改良を加え、試行錯誤をくり返したかが、詳細なメカと共に丹念に描かれています。ミサイルの頭部を改良して作られたから、アイアンマンのマスクがあんな形になったとか、飛行バランスをとるのにどんなに苦労したかとかが、実に細かく描写されるのです。ですから、当初、身体に入りこんだ金属片が心臓に行かないように付けられた電磁コイルが、途中から謎の人工心臓アーク・リアクターにすり替わろうと、丹念に描かれた製作工程の中に埋没して、少しも気になりません。いや、むしろこの製造過程が大きな説得力を持って後押しをしているのです。
 
 ともあれ、「アイアンマン」は今までのスーパー・ヒーロー物の中でも、細部に拘ったキャラクター作りが出色で、メカ好きはもとより、メカに疎い人にも馴染みやすい作品に仕上がっています。でも、なんでこの作品が米国で3億ドルを超える興行収入を上げたのかは理解しがたいものがあります。
  
 因みに「スパイダーマン」にも「Xメン」にも「インクレディブル・ハルク」にもカメオ出演していた原作者のスタン・リーが初めて本人の役で登場します。またエンドクレジットの後には、アメコミファンが驚喜するようなオマケ・シーンがあります。ついにあれが始動するんですね…。
 
 ★★★★☆☆☆