JUN 2008
Diary

6月10日 「109の日」
 今月の映画の日には映画を観に行けませんでしたが、実は109シネマズでは十周年を記念して10日と19日も鑑賞料が1000円なのです。しかも会員ならば1000円でエクゼクティブ・シートに座れます。というわけで、早速行ってきました。「ナルニア国物語第2章」は観るとして、次に「シューテム・アップ」と「ランボー最後の戦場」という手もあったのですが、こういう映画を立て続けに観ると頭の中がグチャグチャになりそうなので、不本意ですが「ザ・マジックアワー」で日和ることにしました。
 
 「ナルニア国物語第2章:カスピアン王子の角笛」
 ナルニア国物語の続きです。カスピアン王子の角笛に導かれ、再びナルニア国へやって来たペベンシー4兄妹。だが城は朽ち果て、そこでは既に1300年の年月が過ぎていた。そして、ナルニアの大地はテルマール人に征服されていた…。

 LOTRのレゴラス並に活躍するスーザン。敵の大将と果敢に戦うピーター。でも、彼らが殺傷する相手は怪物でも妖怪でもなく、紛れもなく人間です。その点がどうしても気になり、子供を主人公にしたファンタジーの限界を感じてしまいます。

 ともあれ、今回の作品はすこぶる出来が良いように思います。VFXも見事で、テルマール軍とナルニア軍の攻防シーンなど非常に手に汗握る仕上がりになっていますし、精霊達の描写も未だかつて無い程の素晴らしさです。加えてオールCG製作によるキャラクターも多数登場し、特にリーピチープなど、実写キャラに負けない程の魅力と存在感を放っています。

 とはいえ、今回最大の売りはなんと言ってもカスピアン王子役のベン・バーンズでしょう。どこから見てもいかにも王子様という彼が、主役の4兄妹を完全に食っています。しかし、彼が本領を発揮するのは次回作になる模様です。
 
 ☆☆☆☆★★★★(考えてみると、結構殺伐とした内容のファンタジーですが…)
 
 
 「ザ・マジックアワー」
 三谷幸喜監督の作品は嫌いじゃないですが、それ程好きだというワケでもありません。傑作というのはおこがましいですが、彼の過去の作品ではやっぱり「ラヂオの時間」が最高作ではないでしょうか。その三谷幸喜監督の最高傑作という謳い文句に釣られて観たわけですが、果たして…?

 どこかレトロな雰囲気の漂う、映画のセットのような港町「守加護」。町を牛耳るボス天塩の愛人マリに手を出して捕まった備後は苦し紛れに伝説の殺し屋「デラ富樫」の知り合いだと嘘を言う。「デラ富樫」を尊敬するボスは、5日以内に連れて来ることを条件に備後を放免するが、さすが伝説の殺し屋だけあって、何処を探しても一向に見つからない。そこで備後は売れない俳優村田大樹に映画を撮ると偽り、デラ富樫に仕立てて、天塩の事務所に連れて行くのだった…。

 マジックアワーとは昼と夜の間の「逢魔が時」のこと。それは現実と虚構=映画の狭間。全ての映画人が憧れる至福の一時。というわけで、虚実入り乱れての大騒動が、過去の様々な作品に対するオマージュやパロデイを込めて繰り広げられます。なんか面白そうでしょ?カメオ出演のゲスト陣も豪華です。あんな人やこんな人がちょい役で現れては消えていきます。これも三谷幸喜監督の人徳の成せる技なのでしょう。でも、それらの豪華なゲストを生かし切っているかというと全くそんなこともなく、ただ浪費しているだけで終わります。

 肝心のクライマックスに至っては、サジを投げたというか、もう滅茶苦茶で(といって、無茶苦茶が悪いわけではないですが…)、結末も有耶無耶にされた感が残り、どうもシナリオ的に釈然としません。練り込みが足りないというか、首尾一貫性がないというか、物足り無さの残る残念な仕上がりと言わざるを得ません。

 最後に笑うのは観客か?いえ、監督でしょう…か?
 ☆☆☆★★★
 (結局、豪華なセットだけは素晴らしい!)