JANUARY 2006
Diary

 1月14日 「正月のドラマ」

  正月に放送されたドラマがあまりに多いのでHDDに録画しておいたのですが、ようやく観ることが出来ました。総じて、各局ともかなり力を入れて作っていることが伺えます。しかし、同時に日本のTVドラマの限界も明らかになりました。このあたりを見極めないで大風呂敷を広げ過ぎると、とんだ失敗をしてしまうものです。
 
 その良い例が「里見八犬伝」でしょう。オールスター・キャストで壮大なドラマを目指した心意気は買いますが、いかんせん内容がついて行きません。所詮「ロード・オブ・ザ・リング」のような映像を作ることは不可能なのですから、限られた予算と環境の中で最善を尽くすべきでした。「24」のようなTVにしか出来ない表現方法もあるわけですから、TVならTVなりの切り口というものを考えて製作に挑むべきだったと思います。
 
 今年の大河ドラマも、いきなり失敗の兆しがプンプン臭ってきます。最近のNHKは一体どうしちゃったんでしょうか?やたらCG技術が向上した分、明らかに内容が薄っぺらな物に成り下がってしまった気がしてなりません。それに加えて、今回はキャスティングが完全に間違っています。新鮮味を出そうという狙いなのでしょうが、それにしても容姿も年齢も一般的イメージから余りにかけ離れ過ぎているのは理解に苦しむところです。とは言え、まだ失敗と決まったわけではありません。正否の全ては仲間由紀恵をどう生かすかに掛かっているでしょう。是非ともまるっと上手くやってもらいたいものです。
 
 TVらしさという点で言えば、「古畑任三郎 ファイナル」の3本はなかなか上手い切り口で作られていました。第一話の「今甦る死」では、金田一耕助役者の石坂浩二と夢の共演を実現させました。(ついでに言えば藤原竜也も「八つ墓村」に出てました)イチロー本人が登場する「フェアな殺人者」は話題性も抜群で、制作者の優れた手腕に唸らされます。そして、最後に「ラストワルツ」を持ってきたところは、シリーズの完結という意味でも実にニクイ。古畑任三郎が愛した中森明菜演ずる女性漫画家で始まり、再び古畑任三郎が愛した松島奈々子演ずる女性脚本家で締めくくるという、ホントに見事なシリーズ構成でした。
 
 そして、今年の正月TVドラマで最も感心したのは稲垣吾郎主演の「女王蜂」です。金田一耕助役もすっかり板に付いた感じの稲垣吾郎はもちろん、小日向文世の横溝正史や栗山千明から脇役に至るまで、俳優陣が実にハマっています。金田一耕助と言えば、片岡千恵蔵を始め、池部良、 高倉健、中尾彬、石坂浩二、渥美清、西田敏行、古谷一行、豊川悦司など多くの役者が演じてきましたが、稲垣吾郎が一番ハマっているんじゃないでしょうか。(横溝正史のイメージでは渥美清だそうですが…)金田一シリーズは色々観てきましたが、また新しい金田一像を見せられた思いです。思いも寄らぬ新たな展開に、TVドラマの可能性を感じました。TV局もようやくコンテンツの重要性に目覚め、バラエティーなど一過性の番組より、いつまでも資産として残るドラマを大事に作って行こうという機運が高まってきたように思います。今年はTVドラマが熱くなりそうですね。