JUN 2005
Diary

 6月29日 「宇宙戦争!?」(ややネタバレを含む?)
  「ターミナル」の体たらくで個人的にすっかり信用を失ったスピルバーグですが、今度こそやってくれるだろうと、かすかな希望をもって「宇宙戦争」を観に行きました。それにしても、この日は絶対に映画を観ないと決めていたレディース・デイに初日を持ってくるとは、なんと罪作りなことでしょう。おかげで、映画を観る前から敗北感に苛まれてしまいました。これで映画がつまらなかったら許さないぞ!
 
 私は昔から「宇宙戦争」というこのテーマ自体が大好きなので、巨大なトライポッドが出てくるだけで嬉しいのです。その点、ILMの作りだした映像は、まさに驚愕の一言です。そう、少年の日から思い描いていた絵そのままの映像が画面に展開されるのですから、これはたまりませんですよ。トライポッドの姿は、どこか竜巻にも似た恐ろしさと美しさがあり、巨大な怪物を見上げるという構図は、怪獣映画独特のドキドキ感があります。
 
 でも映画として面白いかと聞かれたら、ちょっと返答に困ってしまいます。リアルな戦争を描こうという趣旨なので、とにかく主人公は逃げるばかり。この点、映画的な盛り上がりや爽快感を期待する人には不満が残ると思います。また、終始主人公の目を通して描かれ、主人公が見聞きしたほんの少しの情報しか与えられないので、地球規模の戦争にしては世界的な広がりが殆ど感じられません。
 
 エイリアンの行動も矛盾だらけで、何のために侵略して、何をしたいのかよく分かりません。もっとも、彼らの思考回路は我々とは根本的に違っているでしょうから、我々の道理が当てはまるとも思えません。それに、理由が分からないからこそ怖いのですが。
 
 同じジャンルには入るものの、この映画は「インデペンデンスデイ」とか「地球防衛軍」とは両極にある作品です。あくまでも戦争に巻き込まれた一般市民の目を通して描くという作り方をしているので、人類を救うために立ち上がる科学者も大統領も将軍も一切登場しません。雰囲気的に何だか「太陽の帝国」に通じるものがあるように思います。
 
 それにしても、トレーラーの段階から気になっていたのですが、彼らは本当に異星人なのでしょうか?確たる証拠が提示されていない以上、タイトルに疑問符を付けたくなります。
 
 映画の上映に先立ち、ピータージャクソン監督によって「キング・コング」のトレーラーが紹介されます。画面を見る限り、きっと素晴らしい作品に仕上がることでしょう。何しろコングに対する愛が画面の端々に感じられますから、これは間違いありません。今から12月の公開が待ち遠しいです。