11月27日 「Mr.インクレディブルとスカイキャプテン!」
 
 今日は興奮の1日です。なんてったって、SF少年の夢を叶える映画がなんと2本同時に公開するんですから!もう、興奮するなと言う方が無理です。というわけで、毎度お馴染みワーナー・マイカル新百合ヶ丘に行きました。
 
 まず1本目は「Mr.インクレディブル」(先行レイトショー)です。なんとPIXARのジョン・ラセターが「アイアン・ジャイアント」のブラッド・バードと最強タッグを組んで作った、まさにINCREDIBLE(信じられない)アニメです。これが面白くないわけが無いでしょう。
 
 もちろん、いつものようにシナリオは完璧ですから、多くの人に自信を持ってお奨め出来る作品と言えるでしょう。それに、なにより全編を貫く「センス・オブ・ワンダー」の精神が嬉しい。そして、それらを「家族愛」で一つにまとめる手腕が心憎いです。(以下ネタバレにつき自主規制)
 
 スーパー・ヒーロー物ですが、面白いことに全体的なテイストは007を思わせる作りになっています。脇にもそれ風のキャラが出てきますし、秘密基地にはお約束のモノレールも走っています。侵入ゲートの番号もしっかり「07」で、おまけに音楽も007風(タイトルは忘れましたが「ボンド○○」とかいう曲に似ています)。さらに助手席が吹っ飛ぶわ、仲間は抹殺されるわ、謎の美女が誘惑するわ、敵の隊員が殺人マシンで追いかけて来るわ、火口からロケットが発射するわ、とにかく007へのオマージュとリスペクトが溢れていて泣かせます。
 
 恐らくブラッド・バード監督の好みでしょうが、「JQ」といい、私と同じような作品に影響を受けているようで、なんだか趣味が合いそうです。おかげで、完全に私のツボにはまりました。個人的にはPIXARの最高傑作。今年一番面白かった作品と言えるでしょう。あっ、指輪は例外ですけれど…。
 
 そして、次に観たのが「スカイキャプテン・ワールド・オブ・トゥモロー」です。もう今日は大変です。こちらも、とんでもない作品ですから。
 
 白黒映画に人工着色したような画面のトーンからも分かるように、昔のSF冒険映画をそのまま現代の技術で再現するという趣向ですから、この意図を受け入れられるかによって大きく好みが分かれるところでしょう。街中を闊歩する巨大ロボットにプロペラ戦闘機で挑むなんて図は昭和中期のSF少年達の夢ですが、その辺を理解出来ないと、この映画の世界にはなかなか入り込めないかも知れません。(以下、ネタバレにつき自主規制)
 
 この作品にも過去の名画に対するオマージュが沢山捧げられていて、フライシャーの「スーパーマン」は言うに及ばず、「バック・ロジャース」「フラッシュ・ゴードン」「キングコング」「メトロポリス」「来るべき世界」「オズの魔法使い」…と、枚挙にいとまがありません。そして、この作品でもやはり「007」を思わせるシーンがあって、再び驚かされました。やっぱり最後はこれで締めなくっちゃ!
 

 とにかく、よくぞこんな物を本当に作ってくれたものだと、拍手喝采を送りたい気持ちです。こういうバカげた事を本気でやってしまう、アメリカ映画の懐の広さには毎度の事ながら感心してしまいます。監督はこれが初の長編という新人ですが、なんでも自宅のPCでコツコツ作った短編がプロデューサーの目にとまり、この大作を監督することになったとか。これで映画が大当たりしたら正真正銘のアメリカン・ドリームですが、でも…やっぱり当たらないだろうなぁ。