11月20日 「ハウルの城はなぜ動くのか?」
 
 ワーナー・マイカル新百合ヶ丘で「ハウルの動く城」を観ました。待望の宮崎アニメだというので場内はもちろん満席です。私は予告編を観た時からなんだか嫌な予感がしていたのですが、やっぱり気になったので初日に一番良い席に陣取って観てしまいました。
 
 さて、観た感想ですが…(以下ネタバレに付き自主規制)これは多くの映画評で書かれている、まさにその通りです。とにかくよく分からない!物語の前半で提起された多くの謎が何の説明もないまま、解決したのかどうかも分からないまま物語が終結するなんて、一体どうしたことでしょう!?
 
 ソフィーが場面ごとに歳をとったり若くなったりするのもワケが分かりませんが、大体あの契約の秘密って何なんでしょうか?戦争しているわりには国民がみんなノンビリしているし、実際本当に戦争しているのかも怪しい感じがします。それに、そもそもハウルの城が動く必然性なんて少しもありません。なにしろ魔法の扉を開ければ一瞬で好きな場所に行けるんですから。
 
 主人公のソフィーと言えば「ソフィーの選択」を思い出します。もしかしたら一連の意味不明な描写には何か哲学的な意味が隠されているのかも知れませんが、作品の体裁からはそのような高尚な意図は見受けられません。単に物語として破綻しているとしか思えないのです。
 
 原作はまだ読んでいませんが、あらすじを読んだ限りでは、かなり原作とかけ離れているような気がします。思うに、原作はちゃんとしたお話になっていて、きっと面白いに違いありません。
 
 では、なぜこんな事になったのでしょう?考えるに、どうも別の事情が絡んでいるような気がしてなりません。例えばソフィーがカルシファーを取り出して城を壊し、また復活させるところは全く意味不明ですが、どう考えてもこの辺りに重要な説明が決定的に欠落しています。他にもいくつかシーンが欠落している所が多々見られることから察して、どうやら上映時間や完成期日などの都合で歯抜け状態のまま公開されたのではないかと思われるのです。
 
 多分それが真相ではないでしょうか?そうであると信じたいところです。そうでなければエライ事です。かなり危険信号です。美術もキャラも世界観も素晴らしい作品だけに、とても惜しい気がします。
 
 あっ、そうそう、劇中とってもポポロ的なシーンがいくつか観られます。その点、イメージ的にはポポロに近い物もあるような気がします。物語を除けば、とっても楽しめる作品だと思うのですが…