12月4日 「やっちめぇ〜な!」(By ルーシー・リュー)
 
 もう公開が終わっちゃうというので、慌てて「キル・ビルVol.1」を観に行きました。血が大量に出るというので、相当凄惨なシーンが続出するのだろうと敬遠していましたが、周りに面白いという人が結構いるので、好奇心には勝てず結局観ることにしました。
 
 いや、何というか、とってもヘンテコリンな映画です。ずっと昏睡状態にあったのに、突然目醒めていきなり「4年も昏睡していたか!」(確かこんなセリフ)と叫ぶザ・ブライド。銃を全く使わず、ひたすら日本刀で勝負する礼儀正しいヤクザ。刀差しのついた飛行機座席。寿司も握れば、刀鍛冶もする服部半蔵。季節を無視して突然広がる雪景色。
 
 もう、何が何だか、オリエンタルB級映画のかやくご飯みたいな映画です。くだらないと言えばくだらないですが、作り手の愛を感じ取れるので、ここは一つタランティーノに付き合って楽しんでやりましょう。
 
 クェンティン・タランティーノって、マカロニ・ウェスタンが好きなんだねぇ。やっぱり「続・夕陽のガンマン」が最高でしょ!ちなみに「ガンマン」て言葉は水野晴郎が考えたんですね。やっぱりあなたも東宝の特撮怪獣シリーズ観て育ったんですか。「サンダ対ガイラ」が好きとは、なかなかお目が高いですよ。やっぱりカンフー映画と言ったら黄色のトレーナーを着たブルース・リーでしょう!わざわざ明かりを消して座頭市のマネをするのも憎いねぇ。ゴーゴー夕張はどう見たってスケバン刑事なんだけど、その辺ハッキリさせて欲しいなぁ。
 
 もちろん白土三平の漫画みたいな凄惨なシーンも沢山ありますが、全体のトーンがカラッとしているのでそれ程残虐には感じません。もっともソフィ・ファタールだけは可哀想でしたね。是非「Vol.2」ではバイオニック・ジェミーになって借りを返して欲しいものです。
 
 それにしても、音楽の使い方がとっても面白いです。突然鳴り響く「鬼警部アイアンサイド」のテーマなんて、「ウィークエンダー」を思い浮かべて、まさに「奥さん事件ですよ!」と叫んでいるように聞こえます。片眼の看護婦が口笛を吹く「密室の恐怖実験」も渋くて格好良いですし、軽快な「グリーン・ホーネット」のテーマは仮面の軍団とブルース・リーの両方をイメージさせ小気味良いです。そして極めつけが梶芽衣子の「修羅の花」と「恨み節」!これには参った!あんたはエライ!ルーシー・リューの意味不明の日本語と相まって、もう頭がクラクラしちゃいます。サントラが是非欲しくなりました。
 
 そして後編の「Vol.2」は来年のゴールデンウィークに公開!今度は「ベスト・キッド」でしょうか?