11月22日 「ラストサムライ」
 
 朝から食事もせず作業を続けていて、気が付いたら夕方になっていた。今日は新作映画の先行レイトショーがあるので、そろそろ出掛けなければならない。慌ててバスの時刻表を見ると、なんと土曜日のこの時間は新百合ヶ丘行きのバスが1時間に1本しかないではないか!しかも次のバスでは時間がギリギリ。バスが渋滞で遅れたら間に合わない恐れがある。仕方ないのでここは一番安全な方法を選び、歩いて行くことにする。近道を通れば間に合うだろうし、渋滞もないので歩いた方が確実だ。
 
 というわけで、結局運動不足の解消にもなったし、映画の上映にも間に合った。席に着くと、程なく予告編が始まる。「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」の予告編に眼をウルウルさせた後、「ラストサムライ」を静かに鑑賞する。
 
 欧米人が作った侍ムービーというのでTV映画の「将軍」を連想していたが、予想に反して、実に良く日本の姿を捉えた作品になっていた。写真に残っている当時の風俗をそのまま再現しているところなんか、さすがハリウッドと感心してしまう。特に横浜や東京のセットは驚愕の一語に尽きる。侍達の身のこなしや殺陣も、本家日本の時代劇が恥ずかしくなるくらい堂々としっかりしている。これまでこれほど日本や侍を真摯に見つめた欧米作品があっただろうか?画面に登場する侍達の、何と誇り高いことよ。
 
 日本人キャストも一人一人が実に魅力的で、堂々と演技している。日本一の斬られ役、福本清三は立っているだけで何か不気味な存在感があるし、口数の少ない真田広之は今までで一番格好良い。坊主頭の渡辺謙なんか、まるでユル・ブリンナーのような風格まで感じる。これは来年のアカデミー賞が楽しみだ。
 
 もちろんフィクションであるから、歴史的な事実とは反する。日本人の風習に関する誤解も多少あるし、風景もどこか日本離れしている。「乱」や「影武者」を思わせる合戦シーンもあるが、ニュージーランドでロケしたこともあって、何となく「ロード・オブ・ザ・リング」みたいだ。それでも、欧米の要求に屈せず自国の伝統と文化に誇りを持てと訴えるテーマに、何より侍スピリットを感じ共感を覚える。その意味で、日本人にこそ観て欲しい作品かも知れない。とにかく、立派な映画です。
《「ラストサムライ」の写真とトレーラー!》