8月20日 「UUH!YAAH!TAAAH!」
 
 先日駅前の百貨店にある山野楽器で「少年ジェット」のDVDボックスが2割引で売られていたのを発見したけれど、それからずっと気になっていることがある。昔TVで観た時とても恐かった宇宙病人間の最期はどうだったんだろう?う〜ん、気になって気になって仕方ない。怪物の最期を見届けないことには、どうしてもトラウマを拭い去れない!
 
 そんな思いに駆られて、とうとう「少年ジェット」のDVDボックスを今日買ってしまった。「少年ジェット」というのは、ジェット探偵事務所の北村健少年が愛犬シェーンを従え、愛車ラビット号(スクーター)に跨り悪人どもに立ち向かうという、痛快少年ヒーロードラマだ。
 
 なにしろフジテレビ開局記念で始まったという大昔の連続テレビドラマシリーズだから、今から見ると実にのどかな戦いぶりだ。銃口から花火が吹き出すスーパー・コルトはご愛敬として、とにかく必殺技が凄い。「ウー!ヤァー!タァーッ!」と叫ぶ少年ジェットの「ミラクルボイス」なんて、画面が揺れるだけで悪人どもは気絶しちゃう。
 
 敵の怪盗ブラック・デビルが杖をかざして「タァーッ!」とやれば、稲妻の絵が被り、画面が揺れる。魔人(名前を忘れた)が「イーカンパァーッ!」と叫べば、画面が揺れる。まるで谷啓の「ガチョーン!」や植木等の「こりゃまた失礼しやした!」、ハナ肇の「アッと驚く為五郎ー!」と同じノリだ。
 
 今観たら相当情けない映像に決まっていると覚悟はしていたが、改めて観てみると意外なことに、これがなかなか面白い。「宇宙病人間編」は第4話が欠落しているため、換わりにシナリオを掲載しているのだが、とにかくこれでようやく結末を見届けることが出来た。成る程そういう話だったのか。いや、めでたし、めでたし。
 
 それにしても、昔の正義の味方は実に誠実で礼儀正しい。ナレーションにもあるけれど、「明るく元気で正しい心。少年ジェットこそ 誠の少年の姿である。 いかなる困難、危険も越えて、少年ジェットは今日も行く! 」だからね。
 
 驚いたことに悪役だって礼儀正しい。何てったって敵は大人ばかりだから、少年に対して範を示さなければいけない。怪盗ブラック・デビルなんか、「私は絶対に人は殺しません」と公言して少年ジェットの命を助けたりするし、人質にされた部下を命をかけて救い出したりもする。猛毒怪人紅サソリ(怪盗ブラック・デビルと同じ配役)に至っては、少年ジェットに必殺技(人は殺しません)のミラクルボイスまで伝授してくれるのだ。
 
 ところで「宇宙病人間編」では少年ジェットは一度もミラクルボイスを使わなかった。何故なんだろうか?ちょっと残念だなぁ。