6月17日 「たそがれ」
 
 昨日TSUTAYAで借りてきたDVDで、ようやく「たそがれ清兵衛」を観る。評判通りの、久しぶりに良くできた日本映画だ。ちゃんとした監督が、ちゃんとした役者を使って、ちゃんとした話を撮れば、至極ちゃんとした映画が出来上がる。それに、これは今までの時代劇とは違った視点から捉えた、新しい時代劇でもある。しっかりと人間に焦点を当てているので、ドラマとしても非常に見応えのある作品に仕上がっている。宮崎駿監督が黒沢時代劇に対して疑問を投げかけていた、その答えがここにあるような気がする。もちろん娯楽作品としての時代劇も、決して否定されるべきではないけれど…。
 
 それはさておき、この映画が初出演という舞踏家、田中泯が凄い。恐るべき存在感だ。この人がいるだけで、作品全体に重みが増している。恐ろしい役者がいたもんだ。これからの活動に注目したい。
 
 ただ、スタッフロールに流れる歌は興ざめだ。せっかく気持ちよくドラマが終わり余韻に浸っている観客を、無理矢理現実世界に引きずり戻すような仕打ちはどうにも理解出来ない。これさえなければと、とても残念に思う。