6月29日

 シリーズを維持するためには、外から見えない様々なところで絶え間ない努力が必要だ。特にポポロは外観が優しく派手さが無いだけに、どうしても周囲から甘く見られてしまう傾向があり、外圧や内圧の脅威にさらされ易い宿命を背負っている。だからシリーズを存続させるためには、見えないところで恐ろしく余計に不断の努力と忍耐を強いられてしまうのだ。「1」が当たって、シリーズ化が可能となった時点で、それまで想像すらしなかった様々なトラブルや重圧との闘いの日々が始まった。

 一昨年、出来上がってきたものの内容に納得出来ず、ずっとOKを出さなかった事がある。これまで幾度となく襲来した存亡の危機と同様に、最後の砦として原作者の権利を行使したわけだが、その為制作全体の進行をも一時停滞させてしまった。結局最終的には作業を最初からやり直す事になり、おかげで責任上自分で穴を埋め合わすハメになったが、それも作品の品質維持と存続のためには最低限守り通さねばならない選択だった。仕事がメチャメチャ増えてしまったけれど、それでも創造と関係ないところで労力を強いられるよりはずっとましだからね…。

 今日観た日本の映画でも、改めてシリーズの難しさと素晴らしさを痛感することとなった。1本目は「メン・イン・ブラック2」。どのシリーズ物でも、第一作を越えることは難しい。映画でも「2」が「1」より面白かったのは「エイリアン」と「ターミネーター」位だ。何しろ「1」は何の先入観も無しに観られるが、「2」は「1」のしがらみに縛られてしまうから仕方ない。「最初の出会い」のインパクトの前に「次の出会い」は色あせてしまうものだ。もっとも「再会」で燃え上がるという事もあるから、一概にそうとも言い切れないけれど。

 さて「MIB2」だけど、相変わらずお馬鹿なギャグとSFスピリッツ満載のハイスピード・ハチャメチャ映画だった。とにかく主演のウィル・スミスのラップ同様、矢継ぎ早に次から次へと繰り出されるギャグの量が尋常でない。あんまり多いので、一つ一つに笑っている暇もない程だ。というか、気が付いた時には次のギャグが出るので、笑う機会を失ってしまうこともある。ストーリー自体ももの凄いスピードで進むので、油断するとストーリーの流れに乗り遅れてしまいかねない。もう少し余韻とか情緒を持たせて、観客が一息つく余裕を与えて欲しかった気がする。

 シリーズということで言うと、時計や車のメーカーが変わってしまったことが残念に思うが、前作の珍妙なエイリアン達がかなり活躍してくれているのが嬉しい。(以下観ていない人のために伏せ字→)
特にパグ犬は大活躍で、ほとんど準主役の扱いになっているのが愉快だ。ただ、Kと奥さんとの関わりが全く欠落してしまったところや、タブロイド紙に全く触れていないのが非常に残念でならない。とは言え、個人的にはロッカーやレンタルビデオのギャグにかなりハマってしまった。これは面白い!まさにセンス・オブ・ワンダーな笑いです。

 そしてもう1本が「スターウォーズ・エピソード2」。前半の極めてぎこちないメロドラマやアナキンのいやらしい目つきには 辟易させられるが、後半に入ってからはもう「これぞ待ち望んでいたスターウォーズだ!」というシーンの連続で前半部の失点を全部吹き飛ばし、まさに「帝国の逆襲」以来の傑作という仕上がりになっている。

 ううううっ!(以下観ていない人のために伏せ字→)
特にヨーダとドゥークー伯爵の対決シーンには思わず背筋がゾクッとなる程の興奮を覚えた。ヨーダ強ーい!クリストファー・リー格好いーっ!アナキン達があんなに頑張ったのに、最後にこの二人に全部持って行かれてしまったという感じだ。しかしこの二人とオビ=ワン、アナキン達の師弟関係には参ったなぁ。「ポポロ」の原作でも、白騎士はある意味キングナイトの弟子みたいなものだし、キングナイトは(実は鬼面童子も)ラダック仙人の弟子だから、結構ダブっちゃうんだよね。

 おおおおっ!(以下観ていない人のために伏せ字→)
R2−D2飛べるならⅣ以降あんなに苦労しなかったのに!帝国軍の兵士ってジャンゴの遺伝子を受け継いでいたのか!?だから射撃の腕があんなに悪かったんだね。これは至極納得。しかしボバはあっけなく死ぬところまでジャンゴとソックリだったのね。

 げげげげっ!(以下観ていない人のために伏せ字→)
パンフレットでパルパティーンの正体をバラして良いのか!?まぁ誰でも知っている周知の事実ではあるけれど、映画ではあくまでも謎を残しているのだから、これはどうかと思うよ。出来れば皇帝の写真にアミを掛けて欲しかった。

 というわけで益々盛り上がってきたこのシリーズ。果たして本当に次回作で終わるのか?それで終わらせて良いのか?Ⅶ以降も絶対作って欲しいなぁ。