6月10日
 
 B級、いやC級、もしやD級と判っていながらも、どうしても観たかった映画のDVDを買ってしまった。そういう映画の中にも何かキラリと光るシーンがあることがある。新しい時代の才気を見出すことがある。鋭い視点とアイデアにハッとさせられることがある。

 その昔、空飛ぶ殺人魚の映画を撮っていた監督はその後殺人サイボーグの映画を撮り、凶暴な異星生物と海兵隊の戦いの映画を撮り、そして海に沈む豪華客船の映画を撮った。その昔死霊と電動ノコギリで戦う男の映画を撮った監督は、その後人工皮膚を被って変装する闇の男の映画を撮り、そして突然変異体の蜘蛛に刺されて変身したヒーローの映画を撮った。

 その昔怪しく光る霊と遭遇した家族の映画を撮った監督は、その後乗用車を執拗に追いかけ回す巨大トラックの映画を撮り、海水浴客に襲いかかった巨大鮫の映画を撮り、妄想に取り憑かれた男が異星人と遭遇する映画を撮り、そして人間になりたかったロボットの映画を撮った。今は超一流の監督でも、初めは皆低予算のB級映画から巣立ったのだ。だから時としてB級映画に彼らの原石を見出すことが出来るのだ。もっとも、殆どはハズレだけど…。

 というわけで、やっぱりハズレてしまった。でも好きなんだなぁ、こういうモンスターパニック物。おどろおどろしくて良いじゃないか、変幻自在で無敵の怪物。特撮が雑でも、話がグチャグチャでも、アイデアはなかなか良いと思うよ。買って後悔したかと言うと、ちょっと後悔しているけれど、だってレンタル屋に無かったんだもの…。