2月26日

 そう言えば今週の月曜日は何故か周囲の友人達が突然姿を消してしまった。みんな一体何処に行ったんだろうと思っていたら、なんでも松本零士先生の紫綬褒章受章記念パーティーというものが都内で開かれていたらしい。最近は漫画家が勲章を貰うのも珍しくはないけれど、ストーリー漫画を描いている人が、それもSF漫画を描いている人が貰うのは、もしかして初めてじゃない?

 その昔、世間的に漫画と言えばコマ漫画(1コマ・4コマ漫画)しか認識されていなかった。それが今や、漫画と言えばストーリー漫画か劇画の時代になるなんて、誰が予想しただろう?いや、それどころか日本のストーリー漫画は既に「MANGA」として世界的に認知されるまでになった。

 それに引き替え、コマ漫画の方はどんどん廃れていく一方だ。そしてとうとう「文春漫画賞」も今年で終わることになってしまった。去年から立て続けに高名なコマ漫画家達がお亡くなりになるし、長年続いた「漫画家による現代ユーモア美術展」も終わるし、コマ漫画界は寂しい限りだ。

 ではこのままコマ漫画が終焉を迎えてしまうのかというとそうではない。メディアや技術の進歩に伴い、表現方法や媒体が多様化し、ボーダーレスになった為、従来型のコマ漫画の形に囚われる必要が亡くなっただけのことだ。有史以来、人間の本質は殆ど変わっていないから、漫画を楽しみ、漫画を求める心はこれからも決して消えることはないだろう。「コマ漫画」という旧来の体裁は変わるかも知れないけれど、様々な形に姿を変え、コマ漫画は生き続けるに違いない。